FacebookとInstagramのアルゴリズムがSNSへの依存度を高めてエコーチェンバーを生み出すという研究結果
FacebookとInstagramにおける政治的行動について調査した研究が、ソーシャルメディア研究者コミュニティとMetaの共同で行われ、Facebookのページとグループが政治的主義についてのエコーチェンバーを形成し、フィードを形成する独自のアルゴリズムがソーシャルメディアへの依存度を上げていることがわかりました。
Asymmetric ideological segregation in exposure to political news on Facebook | Science
https://doi.org/10.1126/science.ade7138
Like-minded sources on Facebook are prevalent but not polarizing | Nature
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06297-w
Groundbreaking Studies Could Help Answer the Thorniest Questions About Social Media and Democracy | Meta
https://about.fb.com/news/2023/07/research-social-media-impact-elections/
A new study found that Facebook’s Pages and Groups shape its ideological echo chambers | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/07/27/a-new-study-found-that-facebooks-pages-and-groups-shape-its-ideological-echo-chambers/
この研究は、テキサス大学メディアエンゲージメントセンターのタニア・ジョミニ・ストラウド教授やニューヨーク大学のソーシャルメディア・政治センターの共同所長を務めるジョシュア・タッカー教授らが主導しており、Metaの内部グループと協力して研究が進められました。発表される論文は複数あり、今後数カ月以内に渡って順番に公開されていくとのこと。
今回発表された論文では、研究者はSNSプラットフォームのユーザーが政治的に同調するコンテンツにどれぐらいさらされているのかを洞察しています。研究チームは「私たちの分析は、ソーシャルおよび情報環境としてのFacebookがユーザーのイデオロギーを大きく分断していることを浮き彫りにしました。これは閲覧行動に基づくネットニュースの消費に関するこれまでの研究結果よりもはるかに顕著です」と述べています。
研究チームによると、Facebookのグループやページに投稿されたコンテンツには、ユーザーの友人が投稿したコンテンツと比べてはるかに「イデオロギー的な分離」が見られるとのこと。実際、Facebookのグループやページはこれまでにもフェイクニュースや誤情報を流したり、反政府組織や陰謀論コミュニティを生み出したりする場になっていることはこれまでに何度も報じられてきました。
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研究チームは「Facebookのページとグループは、政治的なニュースの発信者からのコンテンツを簡単に再利用できるという恩恵を受けており、さまざまな情報源からイデオロギー的に一貫したコンテンツを再配布できるキュレーション構造を提供します」と述べています。
さらにこの調査では、Facebook上で「リベラルな政治コンテンツ」と「保守的な政治コンテンツ」に大きな偏りがあり、保守的なFacebookニュースコンテンツについてはかなりの割合でMetaの第三者ファクトチェックシステムによって誤りであると判断されていることが判明。これは保守的なイデオロギーを持つユーザーが、リベラルなイデオロギーを持つユーザーよりも誤情報やフェイクニュースにさらされる可能性が高いことを示しています。
そして、Metaと共同で行われた別の調査では、FacebookやInstagramのユーザーはアルゴリズムフィードを逆時系列(新着順)フィードに切り替えるケースが多かったとのこと。そして、逆時系列フィードに切り替えるユーザーはFacebookとInstagramに費やす時間が劇的に減っていることが判明したそうです。研究チームは、FacebookやInstagramがアルゴリズムでおすすめの投稿を差し込んだり時系列をぐちゃぐちゃにしたりすることで、エンゲージメントを高めてプラットフォームへの依存性を促進させていると指摘しています。
IT系ニュースサイトのTechCrunchは、今回発表された論文が大きな研究結果の一部であり、ソーシャルメディアについての複雑な研究結果をすっきりとまとめ、将来のソーシャルメディア研究にとって重要な基盤になると評価しています。
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in ネットサービス, サイエンス, Posted by log1i_yk
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