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ソーシャルメディアは政治の二極化を引き起こすのか?


政治において、人々の意見が保守的な考えを重視する「右翼」と、革新を重視する「左翼」という2つの派閥に分かれることを政治的二極化と呼びます。一部の研究者は、政治の二極化はソーシャルメディアによって加速していると指摘しており、その真偽についてを新聞社のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が調査しています。

Why Social Media Is So Good at Polarizing Us - WSJ
https://www.wsj.com/articles/why-social-media-is-so-good-at-polarizing-us-11603105204

WSJによると、アメリカでは2020年アメリカ合衆国大統領選挙を前に「政治の二極化がこれまで以上に進行している」とのこと。この原因がソーシャルメディアにあると指摘する研究が多くあり、多くの政治学者が「ソーシャルメディアによってアメリカの政治が引き裂かれる可能性がある」と懸念しているとWSJは報じています。

ソーシャルメディアが二極化に与える影響を研究する、デューク大学の社会学教授クリストファー・ベイル氏は「大統領選が近づくにつれ、人々が見聞きするものにGoogleやFacebookといったソーシャルメディアの強い力が影響し、二極化が促進されている可能性が指摘されています。このまま長期的に二極化の傾向が続くと、かつてないほどアメリカが政治的に分断されるかもしれません」とコメント。

また、アメリカで政治の二極化が進んでいることから、「ソーシャルメディアが政治においてどのような役割を果たしているのか」という問題を解明することが緊急性を帯びてきているともベイル氏は述べました。ソーシャルメディアによって二極化がどのように促進しているのか、ソーシャルメディアがどのように人々の視点と行動に影響するかを定量化することは1つの研究テーマとして注目されています。


ソーシャルメディアによって二極化が促進されていると判断されている理由の1つは、影響力の強いソーシャルメディアが、人々の思想に合致したコンテンツを見せるだけで簡単に大きな反響を生み出せる点であるとされています。WSJによると、一部の専門家からは「ソーシャルメディアはアルゴリズムを変更して、各ユーザーが同意できない、異なる思想に関する情報も多く見せるべき」という声も挙がっていたそうです。

なお、ベイル氏は「全体的に見て、ソーシャルメディアが私たちを二極化させるかどうかを証明する決定的な証拠はありません」と主張しています。その理由として、政治の二極化にはソーシャルメディアだけでなく、地理的な要因や政党の変化、新聞やテレビといった他のメディアなど、非常に多くの要因が関係しているためであるとベイル氏は述べました。

そもそも、ソーシャルメディアが実際に政治的二極化へ影響を与えているかどうかを調査すること自体が不可能だとベイル氏は指摘。例えば、アメリカの政治におけるFacebookの影響力を調査するには、一定期間アメリカ全体でFacebookを使用できないようにし、政治的二極化にどんな影響が表れるかを調査する必要があるとのこと。実際にFacebookのような巨大なソーシャルメディアを停止することは不可能であるため、代わりにシミュレーションによって政治の二極化を定量化する研究が多くの研究者によって進められています。


ノースウェスタン大学の研究チームによって発表された、ソーシャルメディアにおける人々の変化をシミュレーションした実験では、専門家が指摘したような「同意できないコンテンツをユーザーに見せる」という対策は政治の二極化を抑制することはできず、かえって別の問題を引き起こす可能性があると結論づけられています。

実験の結果によると、FacebookやInstagram、Twitter、YouTubeといったソーシャルメディアで自分の意思と異なる情報にさらされる時間が増えた場合、ユーザーの感情が悪い方向に増幅されて有害な影響を生む可能性があると研究チームは指摘しました。


また、サンタフェ研究所の応用数学者であるビッキー・チューキャオ・ヤン氏による研究では、政党自体が時間の経過とともに二極化が進んだ様子がシミュレーションされています。シミュレーションから、政党はより過激な有権者を相手にすることで、穏健派を相手にするよりも有利な戦略を取ってきたという結果が得られたとのこと。この過激な有権者を優遇し続けた結果が二極化の要因であるとヤン氏は指摘しています。

つまり、ヤン氏のシミュレーションが示唆しているのは、ソーシャルメディアだけがアメリカの政治的な二極化を推進しているのではなく、他の多くの現象が相互に作用した結果、二極化を進める大きな力が生み出されたということです。また、ソーシャルメディアを積極的に利用しない有権者も一定数いることも、ソーシャルメディアが二極化の原因であると断定できない理由となっています。

なお、ノースウェスタン大学の研究チームやヤン氏の研究結果はあくまで仮説に過ぎず、さらなる研究の価値があるとベイル氏は指摘しています。また、WSJはソーシャルメディアは二極化の原因とは断定できないとしながらも、二極化を少しでも避けるために、少なくとも選挙の前後はソーシャルメディアの利用をできる限り控えることを推奨しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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