テスラのオートパイロットや完全自動運転機能について司法長官事務所が調査を開始
カリフォルニア州司法長官事務所が、テスラの「オートパイロットの安全性問題」や「欺瞞的な広告内容に関する苦情」について、顧客や元従業員から情報を集めていることがCNBCの調査により明らかになりました。
Tesla's Autopilot feature under investigation by California attorney general
https://www.cnbc.com/2023/07/26/tesla-under-investigation-by-california-attorney-general.html
Tesla under investigation in California over Autopilot safety issues and false advertising - The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/26/23809183/tesla-autopilot-investigation-false-advertising-california-attorney-general
Tesla’s Autopilot under investigation from California attorney general: report - MarketWatch
https://www.marketwatch.com/story/teslas-autopilot-under-investigation-from-california-attorney-general-report-b35b9fe2
California attorney general investigating Tesla over Autopilot program - Los Angeles Times
https://www.latimes.com/business/story/2023-07-26/california-ag-investigating-tesla-on-autopilot-safety-false-advertising
After the Department of Justice, the SEC, and the California DMV, the Golden State’s Attorney General Is Also Now Investigating Tesla’s FSD
https://wccftech.com/after-the-department-of-justice-the-sec-and-the-california-dmv-the-golden-state-attorney-general-is-also-now-investigating-tesla-fsd/
2018年式のModel 3の所有者であるグレッグ・ウェスター氏は、テスラの運転支援機能であるオートパイロットを使用している際に経験した「ファントムブレーキ」(明確な理由もなく自動車が突然自動でブレーキをかけること)について、2022年8月に連邦取引委員会(FTC)に苦情を申し立てました。
ウェスタ―氏はアメリカでテスラの完全自動運転機能であるフルセルフドライビング(FSD)を数十万円を支払って購入したそうですが、このFSDについて「テスラに騙されたと感じた」とFTCに語っています。
2023年第2四半期、カリフォルニア州司法長官事務所のアナリストが、ウェスタ―氏に訴状で言及しているテスラの電気自動車(EV)について聞き取り調査を行っていることが明らかになりました。ウェスタ―氏はアナリストに聞き取り調査された際の音声データをCNBCに共有しています。CNBCがカリフォルニア州司法長官事務所に連絡を取ったところ、ウェスタ―氏に聞き取り調査を行ったアナリストが事務所で働いていることを認めました。
さらにその後、カリフォルニア州司法長官事務所はCNBC経由で「誠実性を守るため、我々は潜在的または進行中の捜査についてコメントすることはできず、否定も肯定もできません」という声明を発表しました。
テスラのファントムブレーキは、一般市民から連邦政府機関に度々苦情が寄せられてきた既知の問題です。ファントムブレーキが発生すると、車両が追突されるなどの危険にさらされる可能性があります。
テスラの共同創業者でありCEOでもあるイーロン・マスク氏は、同社のEVではソフトウェアアップデートを通じて徐々に機能を追加し、自動運転機能の改善に取り組むことを約束しています。テスラおよびマスク氏は度々完全自動運転機能の実現を叫んでいますが、実際にテスラのEVが提供しているのは「レベル2」の自動運転であり、ドライバーがハンドルを握ったりブレーキを掛けたりする必要があるものです。
そのため、ウェスタ―氏は「テスラは顧客が製品に満足できない場合、オートパイロット機能の全額返金を受けられるオプションを提供すべきです」とコメントしています。さらに、テスラのFSDについても「テスラが完全自動運転とうたう機能を購入したものの、実際には完全とはほど遠い自動運転機能が提供されます」と言及しました。
なお、カリフォルニア州司法長官事務所のアナリストから連絡を受けたテスラの顧客はウェスタ―氏だけではありません。家族がFSDオプション付きの2021年型のModel 3を購入したというテスラの元従業員は、2023年7月にカリフォルニア州司法長官事務所の消費者保護部門の上級法務アナリストからメールで連絡を受けたとCNBCに語っています。このメールの中で、カリフォルニア州司法長官事務所が積極的に複数の関係者に聞き取り調査を行っていることが明かされています。
プライバシーを守るためこのテスラの元従業員の氏名は明かされていませんが、この人物は過去に公の場でテスラのオートパイロットやFSDの安全性問題について懸念を表明したことがあるそうです。
アメリカの法執行機関がConsumer Sentinel Networkと呼ばれるオンラインデータベースを介し、FTCに提出された消費者からの苦情をチェックすることは珍しくありません。Consumer Sentinel Networkでは「消費者が連邦取引委員会に直接提出した報告書」や「データ提供者が共有するその他の報告書」にアクセスできるようになるそうです。
テスラはこれまで「司法省からテスラのオートパイロットおよびFSDに関する文書を要求されていること」を明かしていましたが、カリフォルニア州司法長官事務所から調査されていることについては明らかにしていません。なお、テスラは「政府が執行措置を講じることを決定した場合、当社の事業・経営成績・見通し・キャッシュフロー・財務状況に重大な悪影響をおよぼす可能性があります」と述べています。
なお、カリフォルニア州陸運局(DMV)もテスラのオートパイロットやFSDについて長年調査を続けており、同社のマーケティングにおける欺瞞的な行為を理由に、テスラを正式に告発しています。
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