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イーロン・マスクが「完全自動運転」のベータ版を提供してから数時間後にテスラ車がクラッシュした様子を捉えた監視映像


2022年11月24日、高速道路を走行していたテスラ車が突如として減速・停止し、後続の車が追突する事故が発生しました。この事故の報告書が新たに公開されたことにより、事故を起こした車はテスラの完全自動運転(Full Self Driving:FSD)をオンにして走行していたことが分かりました。この日はFSDのベータ版が配信された当日であり、FSDの安全性が改めて問われました。

Exclusive: Surveillance Footage of Tesla Crash on Bay Bridge
https://theintercept.com/2023/01/10/tesla-crash-footage-autopilot/

Newly Released Video Of Thanksgiving Day Tesla Full Self-Driving Crash Demonstrates The Fundamental Problem Of Semi-Automated Driving Systems - The Autopian
https://www.theautopian.com/newly-released-video-of-thanksgiving-day-tesla-full-self-driving-crash-demonstrates-the-fundamental-problem-of-semi-automated-driving-systems/

海外メディアのThe Interceptが入手した警察の事故報告書によると、事故を起こしたテスラ・モデルSは事故当時、5車線道路の左から2つ目の車線を時速50マイル(約80km)で走行していました。しかし、走行中に突然左ウインカーを点灯させて左端の車線に寄せ、そのまま減速・停車したため、後続の車はこれをよけきれずに次々と追突。計8台の車両が損害を受け、9人が負傷しました。

I obtained surveillance footage of the self-driving Tesla that abruptly stopped on the Bay Bridge, resulting in an eight-vehicle crash that injured 9 people including a 2 yr old child just hours after Musk announced the self-driving feature.

Full story: https://t.co/LaEvX9TzxW pic.twitter.com/i75jSh2UpN

— Ken Klippenstein (@kenklippenstein)


事故報告書により、ドライバーがテスラのFSDをオンにしていることが明らかになったため、これまでにも「駐車車両がある車線に突っ込む」などの問題が度々指摘されているFSDの安全性が問題視されました。今回の事故で見られたような突然ブレーキがかかる現象は「ファントムブレーキング」として知られており、同様の現象はテスラ車の所有者から数百件報告されています。

高速道路交通安全局(NHTSA)は、この事故について調査を開始すると発表しています。NHTSAのデータによると、テスラの運転支援基礎システム「オートパイロット」を使用するテスラ車は2021年7月から2022年6月までに273件の衝突事故に巻き込まれているとのこと。各メーカーが提供する高度運転支援システムが関与した事故計329件のうち、テスラは70%近くを占め、死亡者や重傷者の大半を占めていることがデータから明らかになっているそうです。

従来の自動車メーカーが電気自動車市場に参入する中、テスラはますます差別化を迫られています。2022年、マスク氏は「FSDはテスラが開発すべき必須の機能である」と述べていますが、FSDは実質ドライバーによる常時監視が必要な「レベル2」に近いことが指摘されており、他社の追随を許している状況です。「完全自動運転」という言葉が誤解を生むとの指摘もあることから、カリフォルニア州はテスラを含む各メーカーに対し、完全自動運転ができない車両を完全自動運転可能であるかのように偽ったり、紛らわしい名前を付けたりして販売することを禁止するよう求めています

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in 乗り物, Posted by log1p_kr

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