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テスラのオートパイロットとFSDが数百件の衝突事故と数十件の死亡事故に関連していることが明らかに


現地時間の2024年4月25日にアメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)が公開した調査報告書により、電気自動車メーカー・テスラのオートパイロットやフルセルフドライビング(FSD)は、これまで数百件の衝突事故と数十件の死亡事故に関連していることが明らかになりました。

Additional Information Regarding EA22002
(PDFファイル)https://static.nhtsa.gov/odi/inv/2022/INCR-EA22002-14496.pdf

Tesla’s Autopilot and Full Self-Driving linked to hundreds of crashes, dozens of deaths - The Verge
https://www.theverge.com/2024/4/26/24141361/tesla-autopilot-fsd-nhtsa-investigation-report-crash-death

2023年3月、アメリカのノースカロライナ州でスクールバスから降りた学生が「高速道路走行時のスピード」で走行していたテスラのモデルYに追突されるという事故が発生しました。このモデルYを運転していた運転手は、オートパイロットを使っていたと主張しています。モデルYに追突された17歳の学生は命の危険に陥り、ヘリコプターで病院に搬送されることとなりました。


この事故を受け、NHTSAはテスラ車両に関する数百件の衝突事故について調査を実施。この調査結果をまとめた報告書が、2024年4月25日に公開されました。この報告書によると、ドライバーの不注意とテスラの技術的欠陥が組み合わさり、数百人の負傷者と数十人の死亡者が発生していたことが明らかになっています。

調査では、テスラのオートパイロットやFSDを使用しているドライバーが「運転課題に十分に従事できていなかった」と判断されており、テスラの技術についても「ドライバーが運転課題に注意を維持し続けられるよう適切に保証できていない」と結論付けられています。


NHTSAは2018年1月から2023年8月までにテスラ車両が起こした合計956件の衝突事故を調査しています。これらの衝突事故のうち、他の車両がテスラ車に衝突した事故もあり、合計で29人の死亡者が確認されています。他にも、「テスラ車が進路上の車両や障害物に衝突する」という衝突事故が211件確認されており、これにより14人が死亡、49人が負傷したと記録されています。

NHTSAは報告書の中で、テスラのオートパイロットおよびFSDが「ドライバーを運転という作業に集中させるように設計されていない」と指摘しています。テスラはオートパイロットとFSDを使用する場合、ハンドルから手を離さず、道路から目を離さないように注意を払う必要があると警告していますが、NHTSAは「多くの場合、ドライバーは過度に満足して集中力を失うだろう」とも指摘しました。

NHTSAが調査した59件の衝突事故では、テスラ車のドライバーには別の物体に衝突するまでに「5秒以上」の十分な時間があったことが判明しています。これらの衝突事故のうち19件では、衝突前に10秒以上時間があったそうです。NHTSAはテスラが提供した衝突ログとデータを検討しており、分析した衝突事故の大部分で「ドライバーが危険を回避するためにブレーキをかけたりハンドルを切ったりしなかった」と指摘しました。

これについてNHTSAは「ドライバーが回避行動をとらなかったり、回避行動を試みるのが遅かったりするケースは、テスラのすべてのハードウェアバージョンと衝突状況で確認されています」と記しています。


他にも、NHTSAはテスラのレベル2(L2)自動運転機能を他社製の自動運転車と比較。これによると、他社製システムとは異なり、テスラのオートパイロットはドライバーがステアリングを調整できるのではなく、作動を解除するように動作するため、ドライバーが運転という仕事に関わり続けることを「思いとどまらせる」ような設計となっているとNHTSAは指摘

そのため、「テスラの設計選択をL2の同業他社の設計選択と比較した結果、テスラは弱いドライバーエンゲージメントシステムとオートパイロットの寛容な操作機能が一致していないため、L2テクノロジーへのアプローチにおいて業界の外れ値であることが判明した」とNHTSAは批判しています。

また、NHTSAはオートパイロットという名称が誤解を招き、「ドライバーが制御できないもの」と誤解させてしまっている可能性があるとも指摘。これに対して、競合他社は同等の機能を「アシスト」「センス」「チーム」といったワードを使って提供しているそうで、NHTSAはテスラが名称でドライバーを混乱させていると強調しています。


なお、テスラはNHTSAの調査に応じる形で2023年末に自主的にリコールを発表し、オートパイロットに多くの警告を追加するためのソフトウェアアップデートを実施していましたが、今回のNHTSAの調査報告を受けリコールに関する新しい調査を開始すると発表しました。

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in 乗り物, Posted by logu_ii

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