世界第3位の富豪が所有するインドのアダニ・グループが「企業史上最大の詐欺」の告発で株価急落、1兆5000億円が1日で吹き飛ぶ
空売りを専門とする投資調査会社で、物言う株主としても知られているアメリカのヒンデンブルグ・リサーチが、インドの財閥であるアダニ・グループを「企業史上最大の詐欺」で告発するレポートを公開しました。これにより、グループ傘下の企業の株価が急落し、時価にして120億ドル(約1兆5000億円)の損失が発生したと伝えられています。
Adani Group: How The World’s 3rd Richest Man Is Pulling The Largest Con In Corporate History – Hindenburg Research
https://hindenburgresearch.com/adani/
Hindenburg’s Short Sell Call Shaves $12 Billion Off Adani Stocks - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-01-25/adani-group-stocks-drop-after-hindenburg-takes-short-position
Gautam Adani Accused of ‘Largest Con in Corporate History’ | Time
https://time.com/6250052/adani-hindenburg-fraud/
インドのグジャラート州アフマダーバードを拠点とするアダニ・グループは、港湾管理やエネルギー産業、鉱業、空港の運営、インフラ整備、食品加工など幅広い事業を手がける多国籍コングロマリットです。また、アダニ・グループの会長兼創業者であるゴータム・アダニ氏は、2023年1月時点で世界第3位の資産を保有しており、一時は世界長者番付で2位に浮上したこともあるアジアで最も裕福な億万長者です。
ヒンデンブルグ・リサーチは2023年1月24日に、アダニ・グループを2年間にわたって調査した結果、同社が数十年間にわたる株式操作と不正会計スキームに関与していたという証拠を得たとのレポートを公開しました。
発表によると、アダニ・グループはこれまで、推定170億ドル(約2兆2000億円)にのぼるマネーロンダリングや脱税、汚職の疑いで当局から捜査を受けてきたとのこと。また、アダニ氏の兄弟であるヴィノッド・アダニ氏を始めとするアダニ家のメンバーが、モーリシャスやアラブ首長国連邦、カリブ海諸島といったタックスヘイブンでオフショア法人を設立するために共謀して文書を偽造したり、そうした事業体を通じて3600億インドルピー(約5700億円)の所得隠しを行ったりしているとも主張されています。
こうした調査結果からヒンデンブルグ・リサーチは、「アダニ・グループ傘下の企業7社は、財政基盤が不安定であるという我々の調査結果に目をつぶったとしても85%は過大評価されています」と結論付けた上で、アメリカで取引されている債券やインド国外のデリバティブ商品などを通じて、アダニ・グループに対して空売りポジションを取ったことを明らかにしました。
これを受けて、アダニ・グループの関連企業の株価は大きく下落しました。海外メディア・Bloombergによると、セメントメーカーや放送局などアダニ・グループが所有する10銘柄の時価総額は、合計120億ドル目減りしたとのこと。ただし、120億ドル下落した後でも、アダニ・グループが支配している企業は過去1年間で500億ドル(6兆5000億円)以上値上がりしたままです。
ヒンデンブルグ・リサーチの発表に対し、アダニ・グループは「このレポートは、選択的な誤報やインドの最高裁判所が棄却した古くて信ぴょう性に欠ける主張を組み合わせた、悪意あるものです。公開されたタイミングから、このレポートの目的はアダニ・グループの評判を損ねて、インドで過去最高の追加株式公募(FPO)であるAdani Enterprisesの資金調達に損害を与えることであることは明らかです」とする声明を発表しました。
Media statement on a report published by Hindenburg Research. pic.twitter.com/ZdIcZhpAQT
— Adani Group (@AdaniOnline) January 25, 2023
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