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「トイレのフタを開けたまま流してはいけない理由」が一発で分かるムービー


外食店などでトイレを利用した際に、「感染症予防のためトイレはフタを閉めて流してください」という内容の張り紙を目にしたことがある人は多いはず。トイレの水を流した際に便器から吹き上がる粒子をレーザー光で可視化したムービーを見ると、なぜフタをせずにトイレを流してはいけないのかが直感的に理解できます。

Commercial toilets emit energetic and rapidly spreading aerosol plumes | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-022-24686-5

CU scientists shine light on what comes up when you flush | CU Boulder Today | University of Colorado Boulder
https://www.colorado.edu/today/2022/12/08/cu-scientists-shine-light-what-comes-when-you-flush

これまでにも、水洗トイレから数万ものエアロゾルが放出されることを示す研究結果が報告されていますが、微粒子が便器から噴出する速度や巻き上がった水滴の挙動までは分かっていませんでした。


そこで、カリフォルニア大学ボルダー校でエンジニアリングを研究しているジョン・クリマルディ氏らのチームは、新型コロナウイルス感染症やノロウイルスなど排せつ物を介して感染する病原体が、水洗トイレによりどのように拡散されるのかを調べるため、レーザー光でエアロゾル粒子の挙動を観察する実験を行いました。

実験の様子は、以下のムービーから見ることが可能です。

Shining a light on what comes up when you flush - YouTube


暗い部屋の中に、北米の公衆トイレによくあるフタがないタイプの水洗トイレが置かれています。緑色の光の筋は、微粒子を検知するためのレーザーです。


トイレの水を流すと、便器から無数の水滴が勢いよく吹き上がりました。


分析により、トイレを流す際に発生した粒子の速度は秒速2メートルで、8秒以内に便座から1.5メートルの高さに達することが分かりました。また、大きな水滴は数秒で落下しましたが、数ミクロン程度の微細な粒子は数分間、またはそれ以上にわたって空気中を浮遊したままでした。


つまり、フタを閉めずにトイレを流すと、ほんの数秒で粒子が顔の高さにまで上昇し、そのまま長時間浮遊し続けることになります。


また、この実験では便器の中に固形物やトイレットペーパーを入れず、便器の近くで人が動くこともありませんでしたが、このような要因は実験結果を悪化させるおそれがあると研究チームは指摘しています。


クリマルディ氏は「私たちは、エアロゾル粒子が単に浮かび上がってくるだけだと思っていましたが、実験してみるとロケットのように飛び出てきました。目に見えないものを存在しないことにするのは簡単ですが、トイレを流した時の粒子を可視化したこの映像を見れば、もう2度とそのように思わなくなるでしょう」とコメントしました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1l_ks

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