最強の「Pi Zero」はどれなのかを示すベンチマーク結果
by Arthur Reeder
「Raspberry Pi」に代表されるシングルボードコンピュータをいくつかピックアップし、ベンチマークテストを行ってみた結果について、シングルボードコンピュータ関連のブログを執筆するブレット氏が共有しました。
The Great Pi Zero Showdown - Bret's Tech
https://bret.dk/pi-zero-showdown/
まずブレット氏がピックアップした機種と、それぞれに搭載されたチップを記載した表が以下の通り。「Raspberry Pi Zero W」や「Banana Pi M2 Zero」などがピックアップされました。
Raspberry Pi Zero W | BCM2835 ARMv7 @ 1.00GHz (1 Core) |
Raspberry Pi Zero 2 W | RP3A0-AU ARMv8 Cortex-A53 @ 1.00GHz (4 Cores) |
Radxa Zero | S905Y2 ARMv8 Cortex-A53 @ 1.80GHz (4 Cores) |
BananaPi M2 Zero | H3 ARMv7 Cortex-A7 @ 1.01GHz (4 Cores) |
MangoPi MQ Pro | D1 RISCV64 @ 1.00GHz (1 Core) |
Orange Pi Zero LTS | H2+ ARMv7 Cortex-A7 @ 1.20GHz (4 Cores) |
Orange Pi Zero 2 | H616 ARMv8 Cortex-A53 @ 1.5GHz (4 Cores) |
次にUnixBenchでベンチマークテストを行った結果のうちシングルコアスコアが以下の通り。Shell Scriptsなどいくつかの項目で「Radxa Zero」が突出しています。
続いてマルチコアスコアがこんな感じ。
「Geekbench 5」のAArch64対応バージョンで実施したベンチマークテストのうち、シングルコアスコアがこれ。Radxa Zeroが突出し、次点に「Orange Pi Zero 2」が付けています。
マルチコアスコアがこんな感じ。
Geekbench 2.4.2 ARM版で試した結果がこう。
PHPBench
PyBench
WavPack Audio Encoding
Crypto++
GZIP Compressionがこのような結果になりました。
続いてメモリの比較。それぞれの機種に搭載されたメモリは以下の通りです。
Raspberry Pi Zero W | 512MB DDR2 |
Raspberry Pi Zero 2 W | 512MB DDR2 |
Radxa Zero | 4096MB DDR4 |
BananaPi M2 Zero | 512M DDR3 |
MangoPi MQ Pro | 1024MB DDR3 |
Orange Pi Zero LTS | 512MB DDR3 |
Orange Pi Zero 2 | 1024MB DDR3 |
CacheBenchの結果がこう。Radxa Zeroは他のボードの4~8倍のRAMとDDR4を搭載しているため必然的に高い数値となります。
Geekbench 2.4.2 ARMのRAMテストがこれ。Orange Pi Zero 2がStdlib Copyに優秀なスコアを出していますが、ブレット氏が6回試しても毎回同じ結果になったとのこと。何が原因かは分からないそうです。
もう1つ、同じくGeekbench 2.4.2 ARMです。
次にネットワーキングパフォーマンスのテスト。それぞれの機種が搭載するネットワーク用のチップセットが以下の通りです。
Raspberry Pi Zero W | BCM43438 802.11 b/g/n (2.4GHz) |
Raspberry Pi Zero 2 W | SYN43436 802.11 b/g/n (2.4GHz) |
Radxa Zero | AP6256 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) |
BananaPi M2 Zero | K019-CW43-DW 802.11b/g/n (2.4GHz) |
MangoPi MQ Pro | TL8723DS 802.11 b/g/n (2.4GHz) |
Orange Pi Zero LTS | XR819 802.11 b/g/n (2.4GHz) |
Ethernet: H3 A83T 10/100Mbps | |
Orange Pi Zero 2 | AW859A 802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz) |
Ethernet: RTL8211F 10/100/1000Mbps |
結果がこんな感じ。Orange Piのボードだけがイーサネットを搭載しており、Orange Pi Zero 2はギガビットポートを搭載しているため、少し偏りがあります。USBの性能はほとんど均一で、クアッドコアボードでは双方向とも300Mbps前後、シングルコアでは200~250Mbpsの速度で推移しています。
次にmicroSDカードの平均読み書き速度を調べた結果が次のとおりです。
続いて温度の比較。稼働中・無ファン状態での「Orange Pi Zero LTS」は、他のボードよりも20度以上高い温度を示したそうです。
消費電力は以下の通りでした。
なお、配送料などを除いた価格は以下の通りです。
Raspberry Pi Zero W | 10ドル(約1400円) |
Raspberry Pi Zero 2 W | 15ドル(約2100円) |
Radxa Zero | 60ドル(約8300円) |
BananaPi M2 Zero | 22.50ドル(約3100円) |
MangoPi MQ Pro | 27.03ドル(約3700円) |
Orange Pi Zero LTS | 20.99ドル(約2900円) |
Orange Pi Zero 2 | 24.91ドル(約3400円) |
「どれを買えば良いのか」という問題について、ブレット氏は「このラインナップの中では、明らかにRadxa Zeroがトップですが、他の製品よりはるかにコストがかかるので、完全に公平というわけではありません。この質問に対する答えは、結局のところあなたが何をしたいかによります」と回答しました。
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