乗り物

iPhone 14を持ってジェットコースターに乗ると警察に通報されてしまう


最新バージョンのOSを搭載したiPhone 14やApple Watch Series 8などには、車が激しく衝突したことを検知すると緊急通報サービスに通報する「衝突事故検出」という機能があります。この機能により、遊園地のアトラクションを楽しむ人のiPhoneが緊急通報用電話番号である「911」に電話をかけてしまい、現場に警察官が駆けつける騒動が発生したことが報じられました。

‘The Owner of This iPhone Was in a Severe Car Crash’—or Just on a Roller Coaster - WSJ
https://www.wsj.com/articles/the-owner-of-this-iphone-was-in-a-severe-car-crashor-just-on-a-roller-coaster-11665314944


The Wall Street Journalのジャーナリストであるジョアンナ・スターン氏によると、iPhone 14が発売されて以来、オハイオ州のキングスアイランド遊園地近くにある911ディスパッチセンターには、「このiPhoneの持ち主が激しい交通事故に遭いました」という通報が少なくとも6件入ったとのこと。しかし、実際にはiPhoneの持ち主はジェットコースターに乗っていただけでした。

Since the iPhone 14 went on sale, the 911 dispatch center near Kings Island amusement park has received at least six phones calls saying:

“The owner of this iPhone was in a severe car crash...”

Except, the owner was just on a roller coaster.

???? by me: https://t.co/hp1fHZBIf6 pic.twitter.com/i0lZPoWzGz

— Joanna Stern (@JoannaStern)


2022年9月には、緊急チームが現場に急行しましたが問題を特定できずに帰投し、後になって事態に気づいたiPhoneの持ち主が「私は大丈夫です」と緊急通報サービスに電話をかけなおしたこともあったそうです。

これは、iPhone 14に搭載されたジャイロセンサーと高重力加速度センサーで衝突事故を検出する「衝突事故検出」機能の誤作動が原因です。この機能により端末が事故を感知すると、端末に緊急電話のスライダーとキャンセルボタンが表示されますが、10秒が経過しても持ち主が反応しない場合は端末から大きな音が出ます。

それでも持ち主が反応しなかった場合、端末が緊急通報サービスに通報します。この時、911のコールセンターには持ち主が事故に遭ったことを伝える音声メッセージと端末のマイクが拾った音が伝えられるので、オペレーターの耳には遊園地の音楽やアトラクションを楽しんでいる人の歓声が聞こえることになります。

こうした事態に、緊急通報サービスからは困惑の声が上がっています。キングスアイランドを管轄するオハイオ州ウォーレン郡の緊急サービスの責任者であるメリッサ・ブール氏は「私たちは通報について非常に警戒しています。なぜなら、通報は全て確認しなければならないからです。緊急事態でもない通報には慣れますが、ディスパッチセンターは疲弊してしまいます」とコメントしました。


誤検知の原因はジェットコースターだけではありません。iPhone 14 Pro Maxのユーザーであるダグラス・ソンダース氏は9月17日、バイクでハイウェイのツーリングを楽しんでいる最中に端末をどこかに落としてしまいました。

これが原因で衝突事故を誤検知したiPhoneは、911に通報すると同時に緊急連絡先に問題発生のテキストメッセージを送信。緊急連絡先に登録されていたソンダース氏のガールフレンドや母親には、ソンダース氏が事故に巻き込まれたとの連絡が届きました。一方そうとは知らないソンダース氏は、一緒にツーリングをしていた友人とApple Storeに行って、新しい端末を買おうとしていたとのこと。

最終的に、ソンダース氏のガールフレンドと母親はソンダース氏の友人に連絡し、ソンダース氏がぴんぴんしていることを確認することができました。ソンダース氏のガールフレンドであるガブリエル・ケネディ氏はThe Wall Street Journalに対し、「親友を交通事故で亡くしたことがあるので、パニックになって最悪の事態を想像してしまいました」と話しています。

10月には、ネブラスカ州リンカーンで自動車が街路樹に衝突する事故が発生し、衝突事故検出機能により通報が行われたことがあります。この事故では6人の乗員全員が亡くなっていますが、衝突事故検出が交通事故の際に機能することが確認されました。


Appleの広報担当者によると、衝突事故検出アルゴリズムには100万時間以上の事故データと、運転記録や衝突テストのデータが使用されているとのこと。しかし、ジェットコースターやアトラクションの中には交通事故の際の急減速に近いほどの急ブレーキをするものがあるため、しばしば誤検知が発生します。

誤検知を防ぎたい場合は、アトラクションに乗る前に端末の衝突事故検出機能をオフにするか、機内モードにすることで回避できます。また、キングスアイランド遊園地の広報担当者は、安全のため乗り物での電話の使用は禁止されており、ポケットから飛び出たり体から外れたりしやすいものはしっかり固定して欲しいと話しました。

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in ハードウェア,   乗り物, Posted by log1l_ks

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