メモ

アメリカ政府が電力消費の激しい仮想通貨業界に対してグリーンエネルギーの使用を推奨、改善されない場合は規制につながる可能性も


アメリカ合衆国科学技術政策局(OSTP)が、アメリカにおける温室効果ガス排出量の削減を推進するためのレポートを発表しました。このレポートの中で、アメリカ政府は同国内で仮想通貨(暗号資産)マイニング企業に対してグリーンエネルギーの使用を推奨しています。

09-2022-Crypto-Assets-and-Climate-Report.pdf
(PDFファイル)https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2022/09/09-2022-Crypto-Assets-and-Climate-Report.pdf

White House report proposes possible restrictions on proof-of-work crypto mining
https://www.theblock.co/post/168621/white-house-report-proposes-possible-restrictions-on-proof-of-work-crypto-mining

Here’s how much energy crypto mining gobbles up in the US - The Verge
https://www.theverge.com/2022/9/8/23341685/crypto-mining-bitcoin-energy-environment-impact-report-biden

White House Condemns Energy Use Of Mining Bitcoin - Bitcoin Magazine - Bitcoin News, Articles and Expert Insights
https://bitcoinmagazine.com/business/white-house-condemns-energy-use-of-mining-bitcoin

OSTPの発表したレポートは、2022年初頭にジョー・バイデン大統領が大統領令を発して作成を義務付けた報告書です。このレポートはアメリカの議会議員および政策立案者が協力して作成したもので、この中で政府は仮想通貨運用によってアメリカ国内で発生する消費電力は、アメリカの総電力使用量の0.9~1.7%に達していると指摘しています。

これはアメリカの家庭用コンピューターの総電力使用量や、鉄道で使用されるすべてのディーゼル燃料とほぼ同等であるとのこと。仮想通貨の運用によりアメリカでは年間2500万トンから5000万トンの二酸化炭素に相当する温室効果ガスが排出されており、これは同国の温室効果ガス総排出量の0.4~0.8%に相当する数字だそうです。


OSTPのレポートではブロックチェーン技術を用いた仮想通貨やNFT、その他のトークンをひとまとめにして「仮想通貨運用」としていますが、海外メディアのThe Vergeは「仮想通貨運用の電力使用量が増加している大きな要因のひとつが、現在最大の仮想通貨ネットワークであるビットコインとイーサリアムを支えているプルーフ・オブ・ワークと呼ばれる一種のセキュリティシステムです」と指摘。

プルーフ・オブ・ワークは仮想通貨業界が使用する電力のほとんどを占めており、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンを非常にエネルギー消費の高いものにしているとのこと。実際、イーサリアムではプルーフ・オブ・ワークからプルーフ・オブー・ステークという別システムへの移行(The Merge)が進行中で、これが実現すれば消費電力を最大99.95%も削減できるそうです。

イーサリアムの消費電力を99%以上削減する大型アップグレード「The Merge」とは? - GIGAZINE


なお、これまでにも仮想通貨マイニングがあまりにも多くの電力を消費していることが指摘されており、ビットコインマイニングによる電力使用量は国家レベルであることをケンブリッジ大学が指摘し大きな話題となったこともあります。また、仮想通貨マイニングにより電力不足に陥った国家が仮想通貨マイニングを禁止したという事例もあります。

国家レベルの電力を消費するビットコインマイニングの消費電力量をケンブリッジ大学が分かりやすく解説 - GIGAZINE


環境保護庁はOSTPが発表したレポートに際して、「責任ある設計・開発・使用のための効果的かつ証拠に基づいた環境パフォーマンス基準を設けるため、技術支援を提供し、州・コミュニティ・仮想通貨業界・その他と共同プロセスを開始する必要があります。環境に責任のある仮想通貨技術を構築しなくてはなりません」という声明を発表。

レポートの推奨するグリーンエネルギーの使用が進まない場合、政府は仮想通貨マイニングのために高エネルギー強度のコンセンサスメカニズムの使用を制限あるいは排除するための法律を検討する可能性があります。

また、米国証券取引委員会(SEC)のコーポレートファイナンス部門が、仮想通貨企業向けに公開情報を調整するための新しいオフィスを設立していることを明かしています。これは仮想通貨に関する「ユニークで進化している申請」に対処するためのオフィスだそうです。また、SECのゲーリー・ゲンスラー委員長はビットコインなど特定の仮想通貨を監督するため、SECの姉妹市場規制当局にさらなる権限を与えることを議会が支持することを示唆しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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