マクドナルドがロシアの全店舗を売却し撤退、「もはやマクドナルドの価値観とは相いれない」

by Bruno Girin

2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻を受けて、3月にロシアでの営業を停止していたマクドナルドが、ロシアでの事業を売却することを発表しました。同社は、買い手が見つかるまでロシアの従業員に給料を支払い続けるとしており、撤退にかかる費用は最大14億ドル(約1800億円)になると見積もられています。

McDonald’s Exits Russia Over War in Ukraine, to Take Write-Off of $1.4 Billion - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-05-16/mcdonald-s-to-leave-russia-take-write-off-of-up-to-1-4-billion

What McDonald’s closures in Russia could mean for the country
https://www.cnbc.com/2022/04/28/what-mcdonalds-closures-in-russia-could-mean-for-the-country.html

ソビエト連邦崩壊直前の1990年に、マクドナルドがモスクワのプーシキン広場にロシア1号店をオープンさせたというニュースは、ロシアと西側諸国の融和の象徴として話題となり、店には「資本主義の味」を求めて開店初日だけで3万人ものロシア人がつめかけました。近年でも、マクドナルドが食べたいばかりにヘリをチャーターする富豪がいるほどロシアで人気だったマクドナルドですが、ウクライナ侵攻により店舗の閉鎖を余儀なくされたほか、後釜としてロゴがマクドナルドに激似のロシア国産ハンバーガーチェーン店の「ワーニャおじさん」まで登場しています。

マクドナルドがロシアでの営業を停止、従業員6万2000人への給与支払いは継続する方針 - GIGAZINE


そんな中、マクドナルドのクリス・ケンプチンスキーCEOは5月16日に、従業員向けの資料の中で「ウクライナにおける人道的危機とそれに伴う予測不可能な経営環境から、ロシアでの営業はもはや不可能であり、マクドナルドの価値観とも一致していません」と述べて、ロシア事業の売却手続きを開始したことを明らかにしました。

マクドナルドは、ロシアでの商標は保持するものの店舗は全て現地の買い手に売却し、店名、M字のマクドナルドのロゴ、ブランド、メニューなども全てなくして店を「脱アーチ」する計画です。記事作成時点では、具体的な売却先は不明となっています。


また、マクドナルドは安全上の理由からウクライナにある108店舗も一時的に閉鎖しています。ロシアとウクライナの店舗を合わせたマクドナルドの売上高は世界合計の2%、営業利益は3%未満です。しかし、マクドナルドは2022年第1四半期の決算で、両国での閉鎖によりリース料、仕入れコスト、従業員の賃金などで2700万ドル(約35億円)、売れ残った在庫により1億ドル(約129億円)の費用がかかったとしており、さらに今回の撤退に要する経費の合計は12億ドル(約1550億円)から14億ドル(約1800億円)になると見積もられています。

マクドナルドは、ロシア事業の買い手が見つかり、またウクライナでの事業が再開できるまで、引き続き両国の従業員に給料を払い続けるとのことです。

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in , Posted by log1l_ks

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