ビットコイン急落でエルサルバドルは30%近い損失を出している
急ピッチで進むインフレへの対策が景気を冷え込ませるとの懸念などを背景に、2022年5月のビットコイン相場は一時的にピーク時の半値を割り込むなど、低迷しています。これにより、ビットコインを正式に法定通貨として採用したエルサルバドルは、大きな損失を出しているとする試算が発表されました。
El Bagholder strikes again | Financial Times
https://www.ft.com/content/0da21b10-bfff-4efc-9c7c-1711bdba34aa
El Salvador’s Bitcoin (BTC) Losses Swell to 28% as Bukele Buys More - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-05-10/el-salvador-s-bitcoin-losses-swell-to-28-as-bukele-buys-more
2021年9月にビットコインを法定通貨に採用したエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は、当時のレートで約28億5000万円に相当する550BTCを保有していることを発表。その後も、相場が急落する度にビットコインの買い増しを発表しており、エルサルバドルは着々とビットコインの保有高を増やしています。
ビットコイン価格の下落を受けてエルサルバドル大統領がビットコインの大量購入を発表 - GIGAZINE
ブケレ大統領はさらに、ビットコインが大きく下落した2022年5月9日にも、500BTCを購入したことを明かしました。
El Salvador just bought the dip! ????????
— Nayib Bukele (@nayibbukele) May 9, 2022
500 coins at an average USD price of ~$30,744 ????#Bitcoin
こうした情報を元に、Financial Timesがまとめたエルサルバドルによるビットコインの購入歴が以下。
Bloombergの集計によると、エルサルバドルがこれまでビットコイン購入につぎ込んだ費用は、1億300万ドル(約134億3000万円)と見積もられているとのこと。一方、ブケレ大統領が購入していることを明かしたビットコインは7400万ドル(約96億5000万円)相当の2301BTCであるため、エルサルバドルは約30%の損失を出していることになるとBloombergは指摘しました。
1人当たりのGDPが3799ドル(約49万円)、外貨準備高が一般的に危険水準とされている「輸入額の3カ月分」の40億ドル(約5215億円)以下と厳しい経済状況にあるエルサルバドルにとって、仮想通貨取引で半年間に約2900万ドル(約37億8000万円)もの損失を出したのは手痛い失敗です。
ブケレ大統領は、2021年11月にビットコインで経済を回す「ビットコインシティ」を建設する計画を明かすなど、ビットコインへの傾倒で知られています。こうした状況に危機感を募らせた国際通貨基金は、2022年1月にビットコインを法定通貨にするのをやめるようエルサルバドルに勧告しました。
国際通貨基金がビットコインの法定通貨化をやめるようエルサルバドルに呼びかけ - GIGAZINE
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