中国はAIを小中学校に導入して教員の負担軽減・農村部の教育環境の改善・障害のある生徒の支援を進めている

中国では政府主導で教育機関へのAI導入が積極的に進められています。その理由について、中国に焦点を当てるメディア「ChinaTalk」が解説しました。
China's AI Education Experiment - by Lily Ottinger
https://www.chinatalk.media/p/chinas-ai-education-experiment
中国政府は2021年に「全土で義務教育の基準を満たした」と発表しており、全国民に教育を行き渡らせるという過程から、その教育の質を高める過程へと移行しています。特に2021年から2025年にかけて進められた第14次五カ年計画は農村部の学校インフラの拡充を優先事項とし、その中にはデジタル黒板などの「スマートハードウェア」を教室に導入することを含むなど、ほぼすべての学校にインターネット接続を提供するために多大な資源が投入されたとのことです。
一方で特定のエリート校に人が集まり農村部が過疎化している点、高校に進学する人がそもそも低く人口の約60%程度しかいない点など、課題は山積みだといいます。ChinaTalkは、「農村部の家庭の多くが子どもを大学に進学させることを希望しています。大学に進学すれば高い収入はもちろん、より良い医療制度や社会的地位が手に入るからです。こうした望みをかなえられるかもしれないと考えれば、国民の多くが政府の教育施策に関心を持つようになります。政府は誰もが大学教育を受けられるような制度を構築するつもりはありませんが、政府は親に対して『自分の子どもが真っ当に生きている』と感じさせる必要があります」と指摘。そのために必要なのが教育機関へのある程度の投資だと説明しました。
こうしたインセンティブがあるため、政府はAIの導入に積極的です。一部ではAIの導入に反発する国民の声もありますが、政府としては教育の質向上と教育資源の不足を補うものとしてAI活用は外せない状況にあるとのこと。同様にアメリカでも一部AIが教師の業務を代行するところがありますが、AIに授業料を払うことに納得できない親もいるそうです。

中国におけるAI活用例としては、教員の業務軽減、農村部の環境改善、生徒の生体情報の分析、障害のある生徒支援などが挙げられます。
中国は生徒一人当たりの教師数が少なく、その結果としてクラス規模はしばしば非常に大きくなっています。政府は小学校の標準的なクラスサイズを45人と定めていますが、56人以上の「超大班」も依然として一般的とのこと。こうした過密クラスは特に農村部で顕著であり、慢性的な教師不足や、都市部の学校による優秀で経験豊富な教師の引き抜きに苦しんでいます。
こうした状況の対策としてAIによる採点の代行などが行われており、特に美術作品の評価などはAIに任せているところもあるそうです。加えてビッグデータ技術を活用した子どもの分析も行うことで、個人に合った育成プランを制定したり、感情の不安定が見られる生徒にメンタルケアを行ったりするところもあります。障害のある生徒への支援にもAIが使われます。例えば音声読み上げやイラスト付きの本を生成するAI機能の応用です。

こうした支援が中国の子どもたちに一定の利益をもたらしていることが示されていますが、中国のAI教育実験は深刻な課題に直面しているともChinaTalkは指摘しています。
1つはAI教育ツールの制限です。ツールの多くは商業的に開発されており、企業は高度にカスタマイズ可能なツールの投資に慎重です。インフラ、教員の質、カリキュラムのばらつきが大きいため、農村部の学校を一括りにしてツールを投入するのは困難です。また商用ソフトウェアの価格も導入の障壁となり得ます。
さらに、多くのツールは農村部のインフラ制約を前提として設計されていません。政府の基準では生徒15人に対してコンピュータ1台が必要とされていますが、2024年の調査によれば農村部ではなお850万台の不足があり、家庭でAI宿題ツールを利用するにはデバイスも必要ですが、農村部ではスマートフォンは普及しているものの、親が毎日長時間子どもに貸し出すか、専用端末を購入するよう求めるのは難しい状況だということです。
仮に生徒がデバイスを持っていたとしても、ソフトウェアの問題は解決しません。AIカリキュラムは主にエリート校の教材を基に構築されており、質の高い教育へのアクセスで格差を埋めることを狙っていますが、農村部の初等教育の質は低いままで、AIを年齢の若い段階から導入する必要さえ生じています。
ChinaTalkは「中国のAI教育実験はまだ初期段階にあり、分権的な実施のため地域ごとの結果には大きなばらつきが生じると予想されます。最良のシナリオは、各地域が成功と失敗から学び、その知見を制度化して資源不足の学校を支援することです。すでに農村部の子どもたちは不利な立場にあり、地方政府が見栄えの良いシステムではなく、実際に学習を支援するAIツールを優先することを願うばかりです」と述べました。
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