AppleとEpic Gamesの訴訟で「App StoreはApple以外の支払い方式も認めるように」との判決が下る、一方でAppleの勝利という声も
2021年9月10日(金)の朝、長らく争われてきたApple対Epic Gamesの法廷闘争に対して、担当裁判官のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース氏が判決を下し、Appleに「App Storeで提供するアプリにおいて、Appleが提供する支払オプション以外のものも認めるように」と命じました。
apple-epic-judgement - DocumentCloud
https://www.documentcloud.org/documents/21060631-apple-epic-judgement
Apple must allow other forms of in-app purchase, rules judge in Epic v. Apple - The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/10/22662320/epic-apple-ruling-injunction-judge-court-app-store
人気バトルロイヤルゲーム・フォートナイトの開発元であるEpic GamesがAppleを提訴したのは、2020年8月のこと。AppleはApp Storeで配信されているアプリの売上の15~30%を「App Storeでアプリを配信するための手数料」として徴収しています。Epic Gamesはこの手数料の徴収を回避するために、ゲーム内通貨を直接購入できる「EPICディレクトペイメント」を発表したところ、Appleは「App Storeを介さないアプリ内課金は認められない」として、iOS版のフォートナイトアプリをApp Store上から削除。これに対してEpic Gamesは「公正な競争」を求めるために訴えを起こしました。
「フォートナイト」開発元のEpic GamesがAppleを提訴 - GIGAZINE
これまでにもApp Storeが手数料として徴収するパーセンテージが高すぎると複数の企業が声を上げてきたのですが、アプリストアの手数料について法廷で正式に争われるということで、世界中がAppleとEpic Gamesの法廷闘争の行く末を見守っていました。
2021年5月には対審がスタートし、両社の関係者が出廷し発言を続けてきたのですが、2021年9月10日に同訴訟を担当しているロジャース裁判官が判決を下し、数カ月にわたるやり取りを終結させました。
ロジャース裁判官はAppleに対して、Appleの支払いシステムを経由しないようなオプションを認め、アプリ開発者がそれらの支払いオプションにユーザーを誘導できるようにすべきと命じています。この差し止め命令はAppleが控訴しない限り、90日以内(2021年12月9日まで)に発効することとなります。
なお、ロジャース裁判官はEpic GamesがAppleのガイドラインに違反しながらフォートナイトにEPICディレクトペイメントを実装した点についてはEpic Games側に非があるとして、本来Epic GamesからAppleに支払われるはずだった売上の30%(350万ドル、約3億8000万円)を損害賠償金としてAppleに支払うよう命じています。
今回の判決において、ロジャース裁判官は「今回の訴訟の関連市場はデジタルモバイルゲームトランザクションであり、一般的なゲームではありません。また、App Storeに関連するApple独自の内部オペレーティングシステムでもありません」と明確に述べています。さらに、「Appleが連邦あるいは州の独占禁止法のもとで独占者にあたると最終的に結論付けることはできません。ですが、今回の裁判においてはAppleがカリフォルニア州の競争法のもとで、反競争的な行為を行っていることが示されました」と述べ、AppleのApp Storeの在り方が独占禁止法に抵触しているわけではないとしました。つまり、AppleがApp Store経由の売上の15~30%を手数料として徴収する点については、違法性はないと結論付けたわけです。
この判決に対して、Appleの担当者は「裁判所は我々がずっと理解していることを再認識させてくれました。App Storeは独占禁止法に違反しているわけではありません。Appleはビジネスを行うすべてのセグメントで厳しい競争に直面しています。Appleの製品とサービスは世界最高のものであるため、顧客と開発者が我々のプラットフォームを選択することを信じています。我々はApp Storeが安全で信頼できるマーケットプレイスであることを保証することに引き続き取り組んでいきます」と述べ、今回の訴訟はAppleの勝利に終わったと宣言しています。
一方、Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは「今日の判決は開発者にとっても消費者にとっても勝利とはなりませんでした。Epic Gamesは10億人の消費者を対象に、アプリ内課金方法とアプリストア間の公正な競争を目指して戦っていきます」とツイートし、今後も公正なアプリストアの在り方を求めていくとしています。
Today’s ruling isn't a win for developers or for consumers. Epic is fighting for fair competition among in-app payment methods and app stores for a billion consumers. https://t.co/cGTBxThnsP
— Tim Sweeney (@TimSweeneyEpic) September 10, 2021
なお、Epic Gamesの広報担当者は同社が控訴する予定であるとNPRに対して語っています。
・つづき
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