サイエンス

ロボットに見つめられると集中力が削がれてしまうことが判明


人間が「誰かに見られている」と気づいた時、見ているのが動物であろうが人間であろうが少し緊張したり意識したりするもの。新たな研究により、人間は感情のないはずのロボットに見られていると気づいた時でさえ、脳の神経が影響を受け、集中力が損なわれることが示されました。

Mutual gaze with a robot affects human neural activity and delays decision-making processes
https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.abc5044

When Robot Eyes Gaze Back at Humans, Something Changes in Our Brain And Behavior
https://www.sciencealert.com/when-robot-eyes-gaze-back-at-humans-something-changes-in-our-brain-and-behavior

When humans play with a humanoid robot, they delay their decisions when the robot looks at them - IITalk
https://opentalk.iit.it/when-humans-play-in-competition-with-a-humanoid-robot-they-delay-their-decisions-when-the-robot-loo/

イタリア技術研究所の認知神経科学者であるマーウェン・ベルカイド氏らは、同研究所が開発したヒューマノイドロボット「iCub」を用いて実験を実施しました。実験に参加した人間の被験者はiCubと向かい合って座り、目の前に置かれたコンピューターで「車を直進させ、正面から走ってくる車とぶつかる直前でよける操作をする」というチキンレースをプレイ。この際、被験者は車とぶつかる少し前に、一瞬目を上げてiCubの目を見るよう指示されました。iCubは被験者に見られた際、目をそらす、もしくは視線を合わせ続けるという動作を行いました。

by Jiuguang Wang

この実験により、被験者がiCubに見続けられた場合、iCubに目をそらされた場合に比べて操作の判断が少し遅れる傾向にあることが判明。このことから、ベルカイド氏らは「人間はたとえ相手がロボットであっても、『見られている』と認識した際に意識がそがれ、集中力が損なわれる」と判断しました。

また、実験中に被験者から読み取った脳波を分析した結果、被験者がiCubに見続けられた場合に確認できた脳波は、人間が「何かに注意を払う」というシーンで見られる脳波と同様のパターンを示していたとのこと。これらのことから、ベルカイド氏らは「人間はロボットと目を合わせることと、ロボットの視線を無視しようとすることに、多くのコストを費やしている」と結論付けました。


ベルカイド氏らは「高いコミュニケーション能力を持つ社会性の高いロボットは、自閉症などの治療を目的として開発されたiCubのように人間にとって役立つ場合もある。しかし、工場などの人間が仕事に集中すべき場所に置かれる場合、人間の集中力をそいでしまう可能性もある。社会性の高いロボットは必ずしも人間にとって有益であるとは限らない」と述べました。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1p_kr

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