日本円キャリートレードの「大巻き戻し」現象とは?なぜ株・金・仮想通貨などが突然暴落し始めたのか?

世界の金融市場で株式や暗号資産、為替の値動きが荒くなる一因として、「日本円キャリートレードの大規模な巻き戻し」が起きている可能性が指摘されています。大巻き戻し現象の仕組みについて、2011年に発生した「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動に関連したウェブメディアのOccupyWallSt.comが解説しています。
The Great Unwind
http://occupywallst.com/yen

2026年初頭の金融市場では、ビットコイン価格がピーク時から44%下落したり、銀の価格が1980年以来となる40%の下落を記録したり、Microsoftが2020年以来最大となる15%の株価下落を見せたりと、混乱が続いています。
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これらの出来事は素人目には「それぞれが特異で脈絡のない一連のショック」のように見え、一部のメディア報道では「AI関連の設備投資と連邦準備制度(FRB)の新しい議長にネガティブに反応している」と伝えられています。しかしOccupyWallSt.comによると、機関投資家のバランスシートを体系的に分析した結果、「金融市場の異常事態を結び付ける唯一の因果関係」として、「日本円キャリートレードの隠れた解消」が示唆されたとのこと。
日本円キャリートレードとは、円資金を借入れて金融資産を保有し、一定期間後に資産を売却した後に借り分を返済して差額により利益を得ようとする取引です。日本円はゼロ金利政策やマイナス金利政策により、ドルやその他の通貨と比べて金利がかなり低いため、円を借りて外貨や株に投資することでコストを抑えることができます。例えば、日本から0%の金利で円を借り入れ、それをドルに交換して4%の利回りの国債を購入すれば、返済時の金利負担がほぼないため理論上は利回り分がそのまま利益になります。
日本円キャリートレードで利益を出している投資家が特に警戒するのは、日本円の金利上昇と円高です。日本が金利を引き上げれば借入れのコストを抑えることが難しくなります。また、日本円を返済する際に借りたタイミングより円高になっていると、返済額が増えるため損になるというわけです。
2025年後半から2026年にかけて円安は続いていますが、金融市場では円の安全資産としての魅力が再評価されつつあります。また、日本銀行は2025年12月18日から19日の政策会合で政策金利を0.50%から0.75%に引き上げています。この時に発生するのが日本円キャリートレードの「ポジション解消(巻き戻し)」です。

投資家は少しでも損を抑えるために、日本円の金利が引き上げられたり、円高になったり、投資先のハイテク株の上昇が鈍ったりするとポジション解消に動きます。また、連邦準備制度理事会が金利を引き下げると、アメリカドル資産の利回りの魅力が低下し、キャリートレードのうまみが薄れるためポジション解消が進みやすくなります。OccupyWallSt.comによると、これらの4つのポジション解消事由がほぼ同時に起こって「強制的な巻き戻しイベント」が発生しているのが金融市場の混乱の原因であるそうです。
日本の金利は0.75%への引き上げを含めても依然としてかなり低い水準にありますが、公表された議事録では「金利引き締めのサイクルはまだ終息にほど遠い」ことを示唆する文言が含まれていることから、最終的に1.5%から2.0%の間になる可能性が投資家たちの間では考えられています。日本円の金利が2.0%まで上昇すると、日本円キャリートレードの資金調達コストは実質的に以前の3倍前後まで跳ね上がります。
また、「おそらく最も重要でありながら、あまり報道されていない動き」として、OccupyWallSt.comは農林中央金庫と日本生命保険の動向を挙げています。これらの機関は歴史的にアメリカ国債の主要な海外投資家の一角となっており、日本の貿易黒字をアメリカ国債や社債に還流させてきましたが、2024年から2025年にかけて資金の流れは大きく反転し、海外資産の売却が進んでいます。また、日本の財務相やアメリカ政府が円安抑制のために直接介入するという臆測も広まっています。
日本円の金利が上昇すると、投資家は所持しているポジションを解消して元の通貨や資産に戻します。低金利を理由に外国債を購入していた日本の組織の動きも変化するため、円高が進むことになり、投資家たちは円高が進む前に日本円の返却を終えようとします。キャリートレードは株式、債券、商品、暗号資産など複数の資産クラスにまたがって構築されているため、日本円の「大巻き戻し」が発生した場合、複数の市場で同時的な価格変動を引き起こす可能性があるとOccupyWallSt.comは述べました。
注意点として、円安や金利動向、日本円キャリートレードの巻き戻しは複数の要因が絡む動きであり、単一の原因で説明できるものではありません。金融市場の専門家は、日本銀行の政策や主要国との金利差、為替市場の需給バランス、地政学的リスクなどの複合的な要因を踏まえて動向を慎重に分析する必要があると指摘しています。
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