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Facebookが大学の研究用アカウントを無効に、利用規約に違反してユーザーのプライバシーを危険にさらすとの判断

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近年では、SNSで拡散されたフェイクニュースや広告が選挙結果に大きな影響を与えていることから、ニューヨーク大学の研究チームは2020年アメリカ大統領選挙に合わせ、Facebookに表示される政治広告を分析する「Ad Observatoryプロジェクト」を開始しました。ところが、Facebookはこのプロジェクトが「不正な方法でFacebookのデータにアクセスしている」として、研究チームに関連するFacebookアカウントなどを無効化したと発表しました。

Research Cannot Be the Justification for Compromising People's Privacy - About Facebook
https://about.fb.com/news/2021/08/research-cannot-be-the-justification-for-compromising-peoples-privacy/

Facebook Disables Accounts Tied to NYU Research Project - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-08-03/facebook-disables-accounts-tied-to-nyu-research-project

ニューヨーク大学のAd Observatoryプロジェクトは、ユーザーのFacebook画面にどのような政治広告が表示されるのかや、その広告がどのような人々をターゲットにしているのかを調査する研究プロジェクトです。研究チームは「Ad Observer」というツールをGoogle Chrome拡張機能およびFirefoxアドオンとして公開し、Ad Observerをインストールしたボランティアを介してFacebookの政治広告に関するさまざまな情報を収集していました。

ところが2020年10月、FacebookはAd Observerのデータスクレイピングが利用規約に違反しているとして、「ツールを無効化し収集した情報を削除するように」と研究者に要求しました。実際のところ、Facebookはツールが公開される前の2020年夏から、研究者にツールが利用規約に違反していると警告していたとのこと。

Facebookが「政治広告の可視化を図る研究ツール」を削除するよう研究者に要求 - GIGAZINE

by Spencer E Holtaway

Facebookは2021年2月に、「2020年アメリカ大統領選挙に関する広告ターゲティングデータ」へのアクセスを研究者向けに公開しました。Facebookの製品管理ディレクターを務めるマイク・クラーク氏は、「これは、Ad Observerを介したデータスクレイピングよりも、さらに包括的なデータセットをAd Observatoryの研究者に提供するものです」と主張しています。

ところが、研究チームはFacebookが提供するデータセットの利用を拒み、データスクレイピングによるデータ収集を続けたとのこと。そして2021年8月3日、ついにFacebookはAd Observatoryプロジェクトの研究チームに所属する人々のFacebookアカウントやアプリを無効化し、プラットフォームへのアクセスも遮断したことを発表しました。


Ad ObserverはFacebookの検出システムを回避して、ユーザー名・広告・ユーザープロファイルへのリンク・特定の広告が表示された理由などのデータを収集していたそうです。クラーク氏は、研究チームが収集した情報にはFacebookが公開していないものも含まれていたほか、Ad Observerをインストールしておらず、データ収集に同意していないユーザーの情報も含まれていたと指摘しています。

クラーク氏は、「ニューヨーク大学のAd Observatoryプロジェクトは、Facebookのデータを収集するために利用規約に違反する不正な方法を使って、政治広告を研究しました。私たちは連邦取引委員会(FTC)の命令に基づくプライバシープログラムに沿って、不正なスクレイピングを止めて人々のプライバシーを守るために今回の措置を講じました」「Ad Observatoryプロジェクトは善意で行われているかもしれませんが、スクレイピングに対する保護についての進行中かつ継続的な違反は無視できないため、修正する必要があります」と述べました。


Ad Observatoryプロジェクトはこれまでの研究で、Facebookはバラク・オバマ元大統領に関するトピックに興味を持つ人に民主党議員の広告を表示したり、保守系コメンテーターのショーン・ハニティー氏が好きな人に共和党議員の広告を表示したりと、ターゲットごとに適切な広告を表示していることを明らかにしています。このように、ユーザーの興味関心を追跡して好みに応じたターゲティング広告を配信する仕組みは、Facebookのビジネスモデルにとって重要です。

ところが、Appleが「iOS 14.5」から新たに導入した「App Tracking Transparency(ATT)」によってユーザーが広告目的の追跡を拒否できるようになり、Facebookや広告主は大きな打撃を受けているとのこと。

そんな中、海外メディアのThe Informationは「Facebookが暗号化されたWhatsAppのメッセージを分析しようとしている」と報じました。

Facebook Researchers Hope to Bring Together Two Foes: Encryption and Ads — The Information
https://www.theinformation.com/articles/facebook-researchers-hope-to-bring-together-two-foes-encryption-and-ads


Facebook wants to crack WhatsApp encryption for ads - Android Authority
https://www.androidauthority.com/whatsapp-encryption-ads-2728774/

チャットアプリのWhatsAppはエンドツーエンドの暗号化が特徴であり、運営するWhatsAppですらユーザーの通信内容を知ることはできません。ところがFacebookは新たな研究者らを雇い、「暗号化されたチャットを復号しないまま分析する方法」の開発を目指しているとのこと。

暗号化そのものは維持することで、理論的にはユーザーのプライバシーを侵害することなくチャットからデータを収集可能です。Facebookの取り組みについて、The Informationは「WhatsAppのチャット内容を基にしたターゲティング広告の配信」が目的ではないかと報じました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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