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Googleが2025年の研究開発を総括、AI・医療・科学・コンピューティング・クリエイティブなどあらゆる分野で発揮されたGoogleの英知の数々


Googleは2025年を「2024年がマルチモーダルAIの基盤を築く年であったとするなら、2025年はAIが我々と共に真に考え、行動し、世界を探求し始めた年でした」と評しています。そんな2025年のGoogleの研究開発分野での進展について、Google ResearchおよびAI担当シニアフェローのジェフ・ディーン氏、Google DeepMindのデミス・ハサビスCEO、研究・技術・社会担当シニアヴァイスプレジデントであるジェームズ・マニカ氏らが解説しています。

Google 2025 recap: Research breakthroughs of the year
https://blog.google/technology/ai/2025-research-breakthroughs/

◆ワールドクラスのAIモデルで画期的な成果を実現
Googleは2025年3月に次世代のAIモデルとして、Gemini 2.5をリリース。

Googleが次世代推論AIモデル「Gemini 2.5」発表、推論とコーディング性能が大きく向上 - GIGAZINE


さらに11月には、競合AIモデルをはるかに上回る性能を持ったGemini 3を発表。

ついに「Gemini 3」が登場、無料で使えてGPT-5.1やGrok 4.1より高性能 - GIGAZINE


12月にはGemini 3ファミリーの最新モデルとして、スピードと効率性を重視したGemini 3 Flashをリリースしました。

GoogleがGemini 3 Flashをリリース、Gemini 3 Pro級の高度な推論能力を維持しながらより高速で価格は約4分の1 - GIGAZINE


GoogleはGemini 3の上位モデルであるGemini 3 Proについて、「最先端の推論技術を基盤に構築されたGemini 3 Proは、あらゆるアイデアの実現を支援するために設計されたこれまでで最もパワフルなAIモデルです。LMArenaのリーダーボードで首位を獲得し、Humanity's Last Exam(本当に人間のように考え、推論できるかどうかをAIモデルが試す、非常に難しいテスト)やGPQA Diamondといったベンチマークで画期的なスコアを獲得し、マルチモーダル推論の概念を塗り替えました。また、MathArena Apexで23.4%という最高スコアを達成し、数学のフロンティアモデルの新しい基準を確立しています」と評しています。

なお、Googleは推論モデルだけでなく、動画生成AIのVeo 3.1や画像生成AIのGemini 3 Pro Image(Nano Banana Pro)といったAIも発表しています。

Googleが動画生成AI「Veo 3.1」をリリース、1分以上の動画生成に対応&音声品質の向上など - GIGAZINE


Googleの画像生成AI「Gemini 3 Pro Image(Nano Banana Pro)」が登場、Geminiの推論機能を応用して言語対応や情報整理能力が強化 - GIGAZINE


この他、Googleは有用なAI技術を誰でも利用できるようにするため、オープンソースで商用利用も可能なオープンモデルの「Gemma 3」を公開しています。

Googleが単一のGPUで実行できる中では過去最高の大規模言語モデル「Gemma 3」を発表 - GIGAZINE


さらに、Googleはスマートフォンなどの低スペックデバイスでも実行可能な小型高性能AIモデルとして「Gemma 3 270M」もリリースしました。

Googleがスマホなどの低スペックデバイスでも実行可能な小型高性能AIモデル「Gemma 3 270M」をリリース、省電力性能に優れ特定分野に特化したAIの基盤モデルとしても使える - GIGAZINE


◆AIを活用した製品の革新と変革
2025年を通し、GoogleはAIをツールからユーティリティへと進化させ続けることで、強力なエージェント機能を搭載した製品ポートフォリオを拡充しました。また、コーディングを支援するツールという枠を超え、開発者と協働する強力なエージェントシステムを導入することで、ソフトウェア開発の在り方を再構築しています。Gemini 3の優れたコーディング機能やGoogle Antigravityのリリースといった重要な進歩は、AIを活用したソフトウェア開発の新たな時代を象徴しています。

GoogleがGemini 3 Proとサードパーティーモデルを活用するエージェントファーストコーディングツール「Google Antigravity」をWindows・macOS・Linux向けに無料パブリックプレビューとして発表 - GIGAZINE


この進化はPixel 10のAI機能や、Google検索のAIモード、GeminiのDeep Researchなど、Googleのコア製品全体にも顕著に現れています。

無料でGoogleの検索AI「Deep Research」を利用可能に、さらにGeminiを自分用にカスタマイズする「Gems」も無料 - GIGAZINE


Google検索の「AIモード」が日本語でも提供開始される - GIGAZINE


◆AIを活用した創造性の強化と共創
Googleは2025年を「ジェネレーティブメディアにとって変革の年」と表現しています。動画・画像・音声・ワールドのためのジェネレーティブメディアモデルとツールは、より効果的で広く利用されるようになり、Nano BananaとNano Banana Proという画期的なツールは、ネイティブ画像の生成と編集においてかつてない機能を提供しました。

Googleはクリエイティブ業界と協力し、FlowやMusic AI Sandboxといったツールを開発し、クリエイティブワークフローにより役立つようにしています。また、Google Arts&CultureにおけるAIを活用した新しいエクスペリエンスや、Geminiアプリ内の画像編集機能の大幅なアップグレード、Veo 3.1、Imagen 4、Flowといった強力なジェネレーティブメディアモデルの導入により、「人々の創造の可能性を広げました」と自評しています。

Googleが画像生成AI「Imagen 4」を発表、最大2Kの画像を生成可能でImagen 3より10倍高速なハイスピード版も登場予定 - GIGAZINE


GoogleがAIで映画を作れるツール「Flow」を発表、画像生成AI「Imagen」や動画生成AI「Veo」を統合しシーン生成からカット編集まで実行可能 - GIGAZINE


Googleが無料の超高品質な画像編集AI「Gemini 2.5 Flash Image」をリリース、日本語で指示できて実写からアニメキャラへの変換も可能 - GIGAZINE


また、Googleは開発中の新しい技術やAI機能を一般ユーザーに先行体験してもらうための実験場であるGoogle Labsを展開しています。このGoogle Labsで2025年に注目を集めたプロジェクトとしては、コーディングアシスタントAIの「Jules」、単純なプロンプトや画像を基に複雑なUIをデザインしてくれるツールの「Stitch」、次世代の3D動画通信プラットフォームである「Google Beam」、広告イメージ自動生成AIの「Pomelli」などが挙げられています。

GoogleのコーディングエージェントAI「Jules」のパブリックベータ版が公開される、Gemini 2.5 Proで強力コーディング - GIGAZINE


遠く離れた人とも間近で会話している気分になれる3D映像コミュニケーションツール「Project Starline」が「Google Beam」に改名し発売へ - GIGAZINE


Googleが広告イメージ自動生成AIの「Pomelli」を発表 - GIGAZINE


◆科学と数学の進歩
Googleはわずか1年で、研究者を支援し、医療における治療法の理解・特定・開発を支援するAIリソースとツールの構築において大きな進歩を遂げました。10年間にわたって先端技術を研究に応用してきたゲノミクス分野では、シーケンシングの領域を超え、AIを用いて最も複雑なデータを解釈できるようになりました。また、50年来のタンパク質フォールディング問題を解決したノーベル賞受賞AIシステムであるAlphaFoldの5周年も迎えました。AlphaFoldは、190カ国以上で300万人以上の研究者に利用されており、その中には低所得国および中所得国の100万人以上のユーザーも含まれています。

GoogleがAIを活用して医科学分野にもたらした影響は以下の通り。

Googleが開発した進化的AI「AlphaEvolve」は未知のアルゴリズムや未解決数学問題の新解法を発見可能、すでにGoogle内部ではAI開発やチップ設計の効率化に活用されている - GIGAZINE


Googleが遺伝子変異の影響を分析できるAI「AlphaGenome」を発表、100万塩基対を一度に入力可能で遺伝子疾患の治療法確立などに役立つ可能性 - GIGAZINE


Googleが高精度でがんの遺伝子変異を検出するAI「DeepSomatic」を発表、オープンソース化で全世界のがん研究を加速へ - GIGAZINE


数学分野では「Gemini Deep Think」の強化版が、国際数学オリンピックに挑戦し、金メダル相当のスコアを達成しました。

Googleの強化版Geminiが数学オリンピックで金メダルを取る性能に到達、自然言語で動作し人間と同じ制限時間で解答を導き出す - GIGAZINE


◆コンピューティングと物理世界におけるイノベーション
量子コンピューティング、エネルギー、ムーンショットといっ​​た分野においても、Googleは重要な発見をリードしてきました。宇宙インフラおよび量子コンピューティングにおけるGoogleの取り組みとしては、以下が挙げられています。

Google主任科学者のミシェル・デヴォレ氏と元Googleのジョン・マルティニス氏、そしてジョン・クラーク氏が量子コンピューティングの研究でノーベル物理学賞を受賞 - GIGAZINE


Googleが量子コンピューターでスパコンの1万3000倍高速な計算に成功、量子コンピューターが従来型コンピューターを超越することを実証する初の検証可能な成果 - GIGAZINE


Googleが人工衛星にAIチップを搭載して宇宙に打ち上げる「Project Suncatcher」を提唱 - GIGAZINE

by NASA Goddard Space Flight Center

GoogleはAIを支えるコアインフラの進化を支えるために、ハードウェア設計のブレークスルーとエネルギー効率の向上に注力してきました。これには推論時代を見据えた新しいTPU「Ironwood」があります。

Googleが推論モデルの処理に最適化した第7世代TPU「Ironwood」を発表、1チップ当たり192GBのメモリを搭載し1ポッド当たりの性能は最強スパコン「El Capitan」の24倍以上 - GIGAZINE


ロボット工学と視覚理解におけるGoogleの取り組みとしては、AIモデルのGemini Roboticsや世界モデルのGenie 3があります。

Googleがロボット工学用のAIモデル「Gemini Robotics」をリリース、口頭で指示するだけでロボットがタスクをやってくれる - GIGAZINE


テキストを入力するだけでグリグリ移動可能な仮想世界を作り出せるAI「Genie 3」をGoogleが発表、ゲーム開発やロボット研究などに革新をもたらすかも - GIGAZINE


◆世界的な課題と機会に取り組む
2025年のGoogleの取り組みは、AIを活用した科学の進歩が、世界で最も深刻かつ広範囲にわたる課題の解決にどのように直接応用されているかを実証しています。最先端の基礎モデルとエージェント推論を活用することで、地球とそのシステムに関する理解を大幅に深めるとともに、気候変動へのレジリエンス、公衆衛生、教育など、人類の繁栄に不可欠な分野において、影響力のあるソリューションを提供しています。

気象、地図作成、山火事に関するGoogleの取り組みには以下のようなものがあります。

AIで台風・ハリケーン・サイクロンの進路を予測して警告する「ウェザーラボ」をGoogleが立ち上げ - GIGAZINE


Googleが地球環境マッピングAI「AlphaEarth Foundations」を発表、農作物や森林破壊などの状況を迅速にマッピング可能 - GIGAZINE


Googleが気象予報モデルの「WeatherNext 2」を発表、1時間単位での高解像度予測が可能な最も高度で効率的なAIモデル - GIGAZINE


医療分野ではがん治療に役立つ細胞分析AIの「Cell2Sentence-Scale 27B」を発表しています。

がん治療などに役立つ細胞分析AI「C2S-Scale 27B」をGoogleが開発 - GIGAZINE


なお、Googleは2026年に向けて「私たちは人類の利益のために、安全かつ責任を持って、最先端技術の開発を続けていくことを楽しみにしています」と述べました。

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