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アメリカで約7兆円の「国民総ブロードバンド化計画」が審議入りへ、報道機関からは疑問の声も


アメリカ議会上院の超党派グループが5500億ドル(約60兆円)規模のインフラ投資法案に関する協議で大筋合意したと表明しました。この法案はまもなく上院で審議入りするとみられていますが、IT系報道各社は同法案に含まれる「国民総ブロードバンド化計画」に疑問を投げかけています。

FACT SHEET: Historic Bipartisan Infrastructure Deal | The White House
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/07/28/fact-sheet-historic-bipartisan-infrastructure-deal/

Biden says he has deal to lower Internet prices, but the details will matter | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2021/07/biden-isps-that-take-govt-funding-will-have-to-offer-low-cost-plans/

White House says infrastructure deal includes $65 billion for broadband - The Verge
https://www.theverge.com/2021/7/28/22598636/white-house-infrastructure-broadband-package-bipartisan

現地時間2021年7月28日、数週間にわたって続いていた5500億ドルという超規模の新規投資を含むインフラ投資法案の協議に関し、バイデン政権と超党派グループが大筋合意したと発表されました。このインフラ投資法案はバイデン政権が2021年4月に発表したアメリカ再強化計画「American Jobs Plan」を法案化したもので、6月から財源確保などの詳細について詰めの協議が続いていました。

バイデン大統領がアメリカ再強化計画「American Jobs Plan」を発表、化石燃料への補助金撤廃や国民総ブロードバンド化などを計画 - GIGAZINE


今回合意に至った内容は、「公共交通機関に対する史上最大の連邦投資」「全米鉄道旅客公社(アムトラック)の設立以来最大の旅客鉄道に対する連邦投資」「州間高速道路の建設以来最大の橋に対する連邦投資」「数百万世帯をカバーする飲料水・排水インフラに対する史上最大の投資」「全アメリカ人に対する信頼できる高速インターネットの提供」「クリーンエネルギーの送電と電気自動車のインフラに関する史上最大の投資」が軸。今回の合意で確定する5500億を加えた「8年間で約1.2兆ドル(130兆円)」という超規模の投資をもって、バイデン政権はアメリカの経済成長・競争力回復・雇用創出などを目指す予定です。

しかし、今回合意に至った軸の1つである「全アメリカ人に対する信頼できる高速インターネットの提供」、いわゆる国民総ブロードバンド化計画についてThe VergeやArs TechnicaなどのIT系報道各社が不信感をあらわにしています。これら報道各社の疑念の1つ目は国民総ブロードバンド化計画に充てられる「650億ドル(約7兆1000億円)」という投資額。2021年4月の「American Jobs Plan」発表時においては、国民総ブロードバンド化計画には「1000億ドル(約11兆円)」を割り当てるとされていたため、協議の過程で大幅に減額された形です。


また、公的資金の使途についても疑問が投げかけられています。公的資金の注入を受ける通信各社は消費者に「低価格で手頃な」インターネットプランを提供し、プロバイダー間で簡単に「プランの比較検討」を行える方法を提供することが求められる予定ですが、その子細は未定。低価格で手軽なインターネットプランを全世帯が利用できるようになるのか、特定の収入要件を満たす世帯だけが利用できるようになるのかすら定められていません。

同様に、高速インターネットの「高速」についても定義が決められておらず、アップロード速度とダウンロード速度に関する具体的な規定が存在しない状態です。通信系市場分析企業のLight Readingによると、審議中の草案では「ダウンロード速度が100Mbps&アップロード速度が20Mbps」となっているとのことですが、電子フロンティア財団はこの速度について「将来的に新しくケーブルを敷設しなければならないので、長期的に考えると余計にコストがかかってしまう」と公式警告を発しています。

電子フロンティア財団が「ダウンロード速度100Mbps&アップロード速度100Mbps」のインフラがアメリカに必要だと提言 - GIGAZINE


今回合意された法案は日本時間2021年7月29日に審議入りする予定。バイデン大統領は合意について、「ブルーカラーの人々がアメリカを再構築する青写真であり、歴史的な経済回復を歴史的な長期好景気につなげるためのものだということです」とコメントしています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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