メモ

「対中国競争力強化法案」がアメリカ上院を通過、国内半導体産業に5兆7000億円の投資など


国家安全保障と経済成長の強化のために国内の科学研究と製造業に資金を投じるという「U.S. Innovation and Competition Act(米国イノベーションおよび競争法)」がアメリカ上院を賛成多数で通過しました。この法案は中国の台頭を防ぐことが目的とされており、共同執筆者のトッド・ヤング上院議員は「中国に対して攻勢をかける機会だ」とコメントしています。

S.1260 – The United States Innovation and Competition Act
https://www.rpc.senate.gov/legislative-notices/s1260_the-united-states-innovation-and-competition-act

Senate passes technology research bill to help US compete with China
https://www.usatoday.com/story/news/politics/2021/06/08/senate-passes-technology-research-bill-compete-china/7415962002/

Senate passes long-delayed China bill | TheHill
https://thehill.com/homenews/senate/557382-senate-passes-long-delayed-china-bill

China competition bill, explained - CNNPolitics
https://edition.cnn.com/2021/06/08/politics/china-innovation-competition-bill-explainer/index.html

2021年5月18日に審議が始まった米国イノベーションおよび競争法は、計2400ページにも及ぶ超大型法案。中には無関係とみられる措置が盛り込まれていたため3週間以上にわたって議論が難航しましたが、超党派からの支持を得て68対32の賛成多数で上院を通過しました。


内容は非常に多岐にわたりますが、主軸とされているのが「国内半導体産業への投資」「科学技術総局の創設」「研究者と製造業を結びつけるテクノロジーハブの新規建設」「国家主導の中国対抗政策」など。世界的な不足が叫ばれている半導体については、全世界の製造量の75%をアジア勢が占めているという(PDFファイル)現状を脱するために、アメリカ国内の半導体製造企業に対して520億ドル(約5兆6900億円)が投じられる予定です。

科学技術関連としては、人工知能・半導体・ロボット工学・高性能コンピューティング・バイオテクノロジーなどの先端技術を促進するため、連邦機関であるアメリカ国立科学財団の傘下に「テクノロジー・イノベーション総局」を設置します。このテクノロジー・イノベーション総局の新設に伴って、アメリカ国立科学財団に810億ドル(約8兆8600億円)の予算が割り当てられるだけでなく、国内大学のテクノロジーセンターおよび研究所に主要重点分野の研究目的で100億ドル(約1兆900億円)の予算が、エネルギー省にエネルギー関連の研究目的で170億ドル(約1兆8600億円)の予算が割り当てられます。また、製造業と研究者を結ぶ「テクノロジーハブ」をこれまで存在しなかった地域に設立することも決定しました。新たなテクノロジーハブの設置箇所については商務省の管轄となり、その予算である100億ドルについても商務省に任されます。

国際政策面に関しては、「同法案によって許可されたプログラムに中国の軍事組織が参加することを禁ずる」「連邦通信委員会が中国政府の過度の影響を受けている事業体に建設許可証や放送局許可証を譲渡したり、割り当てたり、処分したりすることを禁ずる」「孔子学院との協定を維持している高等教育機関への資金提供を禁ずる」といった条項が盛り込まれるなど、「対中国」ということが明確にわかる内容。特にトランプ政権下で国家安全保障上の懸念があるとして禁輸措置を受けたHuaweiについては、「Huaweiがアメリカおよびその同盟国の重要インフラストラクチャに対して継続的な脅威を与えていないと商務長官が証明しない限り、エンティティリスト(いわゆるアメリカ政府のブラックリスト)からの削除を禁じる」と記されており、共和党から民主党に政権が変わっても措置は変わらず、といった状況です。

バイデン大統領は今回の法案が上院を通過した一件について公式声明を発表。「我々はアメリカの労働者とアメリカのイノベーションに対して長らく投資を行ってきませんでした。今回の法案は『American Jobs Plan』とともに研究開発と先進製造業に世代を超えた投資を行うもので、重要産業の成長と将来の雇用につながります。イノベーションやインフラを強化することで、次世代のアメリカの雇用と製造業やテクノロジー産業におけるアメリカのリーダーシップの基盤を築けるようになるでしょう」と述べ、同法案の下院通過に期待を寄せました。

バイデン大統領が2021年4月に発表した「American Jobs Plan」は雇用創出、インフラ再構築、公共投資、クリーンエネルギーへの移行に関するもので、こちらも「中国に対抗する」という姿勢が一貫された計画となっています。

バイデン大統領がアメリカ再強化計画「American Jobs Plan」を発表、化石燃料への補助金撤廃や国民総ブロードバンド化などを計画 - GIGAZINE

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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