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「ビットコインを法定通貨にする法案」がエルサルバドルで可決、地熱を利用したマイニング計画も


中央アメリカのエルサルバドル議会が現地時間の2021年6月8日、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨として採用する法案を賛成多数で可決しました。これによりエルサルバドルは世界で初めてビットコインを法定通貨として採用した国となり、日常の買い物や税金の支払いにおいてビットコインが利用可能となります。

El Salvador’s Bitcoin Law: Full English Text | by Avik Roy | Jun, 2021 | FREOPP.org
https://freopp.org/el-salvadors-bitcoin-law-full-proposed-english-text-9a2153ad1d19

In a world first, El Salvador makes bitcoin legal tender | Reuters
https://www.reuters.com/world/americas/el-salvador-approves-first-law-bitcoin-legal-tender-2021-06-09/

El Salvador adopts bitcoin as legal tender after passing law
https://www.cnbc.com/2021/06/09/el-salvador-proposes-law-to-make-bitcoin-legal-tender.html

エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は、2021年6月4日にアメリカで行われたイベント「Bitcoin 2021」にビデオ出演した際、「来週、ビットコインを法定通貨にする法案を議会に提出する」と発表しました。この際、ビットコインを利用した金融インフラストラクチャーを構築するため、エルサルバドルはデジタルウォレット企業のZAPと提携したことも述べていました。

エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用する世界初の国となる見込み - GIGAZINE


そして現地時間の6月8日、ブケレ大統領はビットコインを法定通貨に採用する「ビットコイン法案」を議会に提出したとツイート。

He enviado el anteproyecto de la #LeyBitcoin a la @AsambleaSV. pic.twitter.com/9vFztvvryG

— Nayib Bukele ???????? (@nayibbukele)


ブケレ大統領はビットコイン法案の提出から数時間後、議員定数の84人中62人の賛成多数で法案が通過したと報告しました。これにより、エルサルバドルは世界で初めてビットコインを法定通貨として採用する国となります。

The #BitcoinLaw has been approved by a supermajority in the Salvadoran Congress.

62 out of 84 votes!

History! #Btc????????

— Nayib Bukele ???????? (@nayibbukele)


今回の法案では、税金の支払いをビットコインで行うことが可能となり、商品やサービスを提供する事業者がビットコインの利用を受け入れることが定められている一方で、以前から法定通貨だったアメリカドルも引き続き法定通貨として利用されます。国は、市民が必要に応じてアメリカドルとビットコインを交換できる手段を提供するほか、市民がビットコイン取引にアクセスするために必要なトレーニングも促進するとのこと。


また、アメリカドルとビットコインとの為替レートは市場によって決定され、アメリカドルとビットコインの交換で利益が出たとしても、キャピタルゲインとして課税されることはありません。実際にビットコインが法定通貨として採用されるのは、法案が官報で公布されてから90日後とされています。ブケレ大統領は、ビットコインを使用するかどうかは個人の自由であり、市民にリスクが及ぶことはないとしています。

エルサルバドルの動きは世界的な注目を集めたものの、記事作成時点では追随する動きを見せる国は現れていません。アドバイザリー企業のGrayline Groupのパートナーであるブランドン・トーマス氏はロイター通信に対し、「これがトレンドになって雪だるま式に増えていくのか、それとも一瞬のものになるのかは、後世にならなければわかりません」とコメント。また、仮想通貨ファンドのDigital Asset Capital ManagementでCEOを務めるリチャード・ガルビン氏は、仮想通貨市場がエルサルバドルに注目していると指摘し、「これは今後2~3年におけるビットコインの重要な触媒になる可能性があります」と述べました。

なお、エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用したことが判明した直後、ビットコインの価格は5%上昇しました。ビットコインはアメリカドルなどに比べて値動きが非常に激しいことでも知られており、2021年4月には史上最高値を更新して1ビットコインが6万3000ドル(約690万円)を突破しましたが、記事作成時点では3万7000ドル(約405万円)ほどとなっています。


ビットコインを法定通貨にするという今回の法案の背景には、エルサルバドルに住む人の70%が従来の金融サービスにアクセスできないという問題があります。仮想通貨のビットコインを法定通貨として採用することで、より多くの市民が金融サービスにアクセス可能となることが期待されているとのこと。また、エルサルバドル経済は海外の出稼ぎ労働者による送金に大きく依存しており、2019年におけるエルサルバドルへの送金総額は60億ドル(約6600億円)に上るそうです。ロイター通信は、「仮想通貨は理論上、一般的に海外送金で使用される企業に頼ることなく、国境を越えて送金する迅速で安価な方法を提供します」と述べました。

さらにブケレ大統領はTwitterで、国有地熱発電企業であるLaGeoの社長に対し、「火山の地熱を利用した100%再生可能エネルギーによる温室効果ガス排出量ゼロのビットコインマイニング施設」を建設する計画を立案するように指示したことも発表。国を挙げてビットコインのマイニングに乗り出す姿勢を明らかにしました。

I’ve just instructed the president of @LaGeoSV (our state-owned geothermal electric company), to put up a plan to offer facilities for #Bitcoin mining with very cheap, 100% clean, 100% renewable, 0 emissions energy from our volcanos ????

This is going to evolve fast! ???????? pic.twitter.com/1316DV4YwT

— Nayib Bukele ???????? (@nayibbukele)

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in メモ, Posted by log1h_ik

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