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世界初の「国家中央銀行発行のデジタル通貨」が誕生


カリブ海に浮かぶバハマ諸島を領有するバハマで、世界初の「中央銀行が支援するデジタル通貨(CBDC)」となる「Sand Dollar」が、2020年10月20日に発行されました。

Project Sand Dollar- Central Bank of the Bahamas
https://www.centralbankbahamas.com/news/press-releases/project-sand-dollar-the-central-bank-identifies-preferred-technology-solutions-provider-for-bahamas-digital-currency


World's First Central Bank Digital Currency Launches In Bahamas: What's 'Sand Dollar'?
https://www.ibtimes.com/worlds-first-central-bank-digital-currency-launches-bahamas-whats-sand-dollar-3065850


バハマ中央銀行によれば、Sand Dollarのプラットフォームは、ブロックチェーン技術を得意とするソフトウェア開発企業・NZIAが設計したとのこと。Sand Dollarは多要素認証セキュリティで保護され、携帯電話から口座にアクセスできます。

バハマ中央銀行によって承認された電子マネー支払いシステムに対応した店舗すべてでSand Dollarを使って支払うことができ、取引手数料もごくわずかだとのこと。なお、バハマの国民およそ39万3000人のうち90%が個人の携帯電話を所有しているそうです。


バハマ政府が今回のCBDC発行プロジェクトを発表したのは2019年3月のこと。同年内にはバハマ諸島のうち、人口2万5000人のエグズーマ島と、人口4万8000人のアバコ島でSand Dollarを試験的に導入するパイロットプログラムが実施されていました。。この時のSand Dollarのレートは、アメリカドル(1ドルは約105円)と1:1で取引されるバハマドルと1:1に固定されたそうです。

バハマでSand Dollarの導入が推進されたのは、銀行インフラの問題があります。バハマ諸島は700を超える島々で構成されていますが、人が居住しているのは30島のみで、この30島の中には銀行にアクセスする手段がない島も存在します。デジタル通貨を中央銀行が発行・運用することで、現金取引の機会が削減され、バハマ全体の金融包括のレベルが向上するというわけです。


バハマ中央銀行eソリューション部門のアシスタントマネージャーであるChaozhen Cehn氏は「私たちは、本当に主権国家として必要なものに合わせて努力と解決策を考えなければなりませんでした」と述べ、「CBDCは、銀行にアクセスできない住民に、デジタル決済インフラストラクチャや銀行インフラストラクチャへのアクセスを提供するのに役立ちます」とコメントしています。

CBDCの導入を検討しているのはバハマだけではありません。特に中国は、ビットコインなどの仮想通貨市場を規制する目的で、「デジタル人民元」を発行するプロジェクトを進めており、2022年の北京冬季オリンピックに合わせてテストが行われる可能性を、海外メディアのBloombergが報じています。

China Is Making Cryptocurrency to Challenge Bitcoin and Dollar - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-06-01/china-is-making-cryptocurrency-to-challenge-bitcoin-and-dollar


一方で、アメリカは「デジタルドル」に関して慎重な姿勢を見せており、連邦準備銀行頭取であるジェローム・パウエル氏は国際通貨基金の年次総会のパネルディスカッションで「アメリカがCBDCをどの国にも先駆けて発行することよりも、間違いのないように発行することがより重要です。アメリカドルは世界の準備通貨であり、アメリカドルに関連するものはCBDCの立ち上げを含め、世界全体に大きな影響を及ぼします」とコメントしています。

なお、Sand Dollarはウニの一種であるスカシカシパンの英名で、スカシカシパンはバハマ中央銀行のロゴにも採用されています。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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