ハードウェア

食洗機をハッキングして洗剤コストを98%削減できるキットを作成した猛者が登場


食器洗い機の洗剤カートリッジのコストの高さに不満を抱いたハードウェア愛好家のdekuNukem氏が、洗剤カートリッジをハッキングして98%のコストカットを実現するキットを作成し、その方法を解説しています。

GitHub - dekuNukem/bob_cassette_rewinder: Renew and Refill Bob Cassettes for 98% Cost Saving!
https://github.com/dekuNukem/bob_cassette_rewinder

dekuNukem氏は小型の家庭用食器洗い機「Bob」を入手しました。


Bobは専用の洗剤カートリッジである「Bob cassette」を洗剤として用いています。Bob cassetteには「残り使用可能回数」が記録されたチップが搭載されており、Bobがチップのデータを読み取り、機体の上部に配置されたモニターに「残り使用可能回数」を表示する仕組みになっています。


dekuNukem氏によると、Bob cassetteは1カートリッジごとに30回使用可能で、1回の使用に67セント(約73円)、毎日使うと年間242ドル(約2万6000円)もの費用がかかるとのこと。洗剤にかかる費用が高すぎると感じたdekuNukem氏は、Bob cassetteに市販の洗剤を詰め替えて使用することで費用を削減することを思いつきます。


しかし、BobはBob cassetteに搭載されたチップから「残り使用可能回数」を読み取っているため、洗剤を詰め替えても「残り使用可能回数」が0回に達すると使用不能になります。そこで、dekuNukem氏はBob cassetteに搭載されたチップを解析して「残り使用可能回数」を書き換えることにしました。


まず、dekuNukem氏は半田ごてでプラスチックを溶かして、Bob cassetteに搭載されたチップを取り出しました。


チップの見た目はこんな感じ。不揮発性メモリとして「24C02 EEPROM」が使われています。


dekuNukem氏は取り出したチップを他のプロジェクトで作成したボードに取り付け、24C02 EEPROMに保存されているデータを読み込みました。


以下は、Bob cassetteの「残り使用可能回数」が26回の時(上)と25回の時(下)の24C02 EEPROMに保存されているデータを示しています。両者の違いは赤枠で囲まれた「4A」から「49」に変化している部分のみであることから、dekuNukem氏はこの部分に「残り使用可能回数」が記録されていると予想しました。


dekuNukem氏は「残り使用可能回数」が26回のときに16進数で「4A」、25回の時に「49」と記録されていたことから、残り使用回数が最大の30回の時は「4E」と記録され、そこから数値が1つずつ下がっていくと予測。Bobに「残り使用可能回数」15回と認識させるために該当部分に「3F」と入力し、Bobに接続しました。その結果、dekuNukem氏の予想に反して画面には「残り使用可能回数」が111回と表示されてしまいました。


その後、dekuNukem氏はコミュニティに助けを借りて、「残り使用可能回数」が以下の表の通りに記録されていることを明らかにしました。表には、左側に「残り使用可能回数」、右側に対応する16進数が記されています。これで、該当部分に「4E」と入力することでBobに「新品のBob cassetteが取り付けられた」と認識させられるようになりました。


「残り使用可能回数」の問題を解決したdekuNukem氏は、詰め替え用の濃縮洗剤をインターネットで成分表を確認しながら探しました。


その結果、dekuNukem氏は1回当たり1.1セント(約1.2円)で食器を洗うことができる激安洗剤を発見。この洗剤を用いれば、1回当たり73円の費用がかかるBob cassetteから98%以上の費用削減が可能です。


激安の洗剤を入手したらシリンジを用いて空っぽのBob cassetteに注入し、データを書き換えれば……


新品のBob cassetteとして認識させることができます。これで、dekuNukem氏は98%もの費用削減に成功しました。


しかし、この方法では洗剤を詰め替えるたびに、「残り使用可能回数」リセットするべくカートリッジからチップを取り出す必要があります。そこで、dekuNukem氏は「残り使用可能回数」を書き換える専用のボード「Bob Rewinder」を設計しました。


Bob Rewinderの使い方はこんな感じ。Bob Rewinder底面の差し込み口にカートリッジの先端部分を接続し、USBケーブルで電源と接続して「RENEW」ボタンを押すだけで、「残り使用可能回数」をリセットできます。


dekuNukem氏は設計したBob RewinderとBob cassette、シリンジをセットにしたキットを販売しています。価格は3113円で、日本への送料は725円とのことです。


なお、dekuNukem氏はBob Rewinderの設計データなどを自身のGitHubリポジトリで公開しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
工場建築ゲーム「Factorio」で実際に動作する8ビットコンピューターを作り上げた猛者が登場 - GIGAZINE

あのイヌ型ロボット「Spot」に「おしっこスタイルでビールを注ぐ機能」を追加してしまった猛者が登場 - GIGAZINE

MacBook Pro専用水冷システムを構築して静音&高性能化を実現した猛者が登場 - GIGAZINE

4Kディスプレイ搭載&重さ30kgの超大型Nintendo Switchを自作した猛者が登場 - GIGAZINE

CDドライブから「食べられる図形を描く3Dプリンター」を作り出した猛者が登場、バッテリー駆動で持ち運び可能 - GIGAZINE

ゲームボーイでビットコインをマイニングする猛者が登場、単3電池4本で採掘可能 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.