DARPA製のAI制御戦闘機が進化、2機連携で敵機を追い詰められるように
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)が開発している戦闘機F-16を制御するAIシステムが進化し、僚機と2機で連携する機能が追加されました。
Collaborative Air Combat Autonomy Program Makes Strides
https://www.darpa.mil/news-events/2021-03-18a
AI-Controlled F-16s Are Now Working As A Team In DARPA's Virtual Dogfights
https://www.thedrive.com/the-war-zone/39899/darpa-now-has-ai-controlled-f-16s-working-as-a-team-in-virtual-dogfights
DARPA to test AI-controlled jets in live-fly dogfights after successful simulations
https://thenextweb.com/neural/2021/03/23/darpa-tests-ai-algorithm-dogfight-simulation-military-autonomous-weapons/
DARPAは2019年からAIによって戦闘機を飛躍的に進歩させる「Air Combat Evolution(ACE)」というプログラムを推し進めています。ACEプログラムの最終的な目標は、全体的な戦略や標的の優先順位決定、武器選択といった高次の認知判断能力を要するタスクは人間が行い、実際の交戦時の操縦といった低次の認知判断能力を要するタスクはAIが行うという、空戦における人間とAIの分業です。
このACEプログラムは、始動からわずか1年2カ月後の2020年8月の時点でベテランパイロットに「5戦全勝」という快挙を達成しています。
AIの戦闘機パイロットが人間のベテラン海軍パイロットに模擬戦闘で完勝、AIが人間より優れている点とは? - GIGAZINE
直近では空対空戦闘における自動化に主に取り組んでおり、2021年3月の発表では「僚機と連携する」という機能が実現されたことが明かされました。以下が2021年3月におけるACEプログラムの進捗について解説するDARPA公式のムービーです。
DARPA ACE Program Makes Strides in Phase 1 - YouTube
以下のムービーでは2機編成で動くAI制御機が青色、単独で動く敵機が赤色で示されており、全ての機体に短射程&高精度の機銃と長射程&低精度のミサイルが搭載されているという設定。ドッグファイトで敵機を追い詰める僚機に対し、もう一機が上空から旋回しつつ接近。
敵機の移動経路を予測しつつ先回りして挟撃。
別のシミュレーションでは以下のように、先回りしつつ一方的に掃射できる位置取りを確保しています。
2021年3月の発表では、こうした僚機との連携機能のほかにもDARPAが「AIに対するパイロットの信頼性評価」に取り組んでいることが明かされました。前述の通りACEプログラムは人間とAIの分業を目指す取り組みですが、完全な分業を達成するには人間側が「AIは命を預けるに足る」と信頼できなければなりません。こうした信頼性の評価のために、ACEプログラムではAI制御を導入したL-29にパイロットの生理的反応を測定する各種センサーを取り付けることで、AIに対する人間の信頼を定量的に測ろうとしているとのこと。
2021年3月時点ではACEプログラムはフェイズ1の途上という評価で、DARPAは2021年後期に達成予定の「シミュレーションによるフライトテストから現実世界でのフライトテストへの移行」をもってフェイズ1の完了とする予定です。
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