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Googleが導入しようとしている「FLoC」をOracleが酷評、「プライバシー強化を口実に優位制を固めようとしている」


プライバシーの観点から近年はサードパーティーCookieの利用が制限されるようになっており、Googleも「Cookieに変わる新しい広告の仕組み」を構築しようとしています。しかし、Oracleはブログの中でGoogleが実験中の「FLoC」というAPIを酷評。Googleはプライバシー向上を口実にして、競業他者を排除し、自らの優位制を強めようとしていると主張しています。

Google’s Privacy Sandbox—We’re all FLoCed
https://www.oracle.com/news/announcement/blog/google-privacy-sandbox-030721.html

◆Googleがこれから導入しようとしている「FLoC」とは?
◆ターゲティング広告自体は続いていく
◆Googleは自分自身を「ファーストパーティー」に含めることで引き続きユーザーを追跡できる
◆Googleのこれまでの、そしてこれからの戦略

◆Googleがこれから導入しようとしている「FLoC」とは?
世界最大の広告企業の1つであるGoogleは、サードパーティーCookieを使ってユーザーのインターネット上の行動を追跡し、得られた興味・関心といった情報をもとにクリック率が高くなりそうな広告を配信して収益を得ています。ターゲティング広告と呼ばれるこのような手法は効果が高いものの、行動追跡が広範にわたり、ユーザーのプライバシーを侵害するとして、近年は規制される方向にあります。

SafariやFirefoxといったブラウザが相次いでサードパーティーCookieをブロックするようになったことに続き、2020年にはついにGoogleも「2年以内にサードパーティーCookieを廃止する」と発表しました。この上でGoogleは、「Cookieに変わる広告の仕組み」を新たに構築すると述べ、プライバシーサンドボックスという提案の中で、新たな仕組みについて議論を続けています。

Googleはどのような「Cookieなしの広告システム」を作ろうとしているのか? | GIGAZINE.BIZ


Googleが提案する仕組みの中で、記事作成時点で導入を前提に実験中であるのが「FLoC」と呼ばれるAPIです。FLoCはFederated Learning of Cohorts(連合学習のコホート)の略であり、簡単に言うと、「ユーザーを数千人単位の集団に分類し、分類ごとの興味・関心に基づきターゲティング広告を行う」というもの。Googleは、この方法であればユーザー個人を追跡することがないのでプライバシー侵害につながらないとしています。

◆ターゲティング広告自体は続いていく
Oracleの代表取締役副社長であるケン・グルック氏はブログの中で、FLoCはユーザーを分類し広告を表示させるターゲティング広告の仕組みであることには代わりないので、ターゲティング広告の問題点は引き続き存続することをまず指摘。FLoCはいわばFacebookにおける「オーディエンス」のような概念ですが、このようなターゲティング広告は「金銭的に困窮する人に高金利・短期のペイデイローン広告を見せる」「特定の人種に不動産広告を見せない」といったことを可能にし、差別行為を実現します。実際にFacebook広告ではこのような差別が横行していました

◆Googleは自分自身を「ファーストパーティー」に含めることで引き続きユーザーを追跡できる


Googleはサードパーティーのブロックを明言していますが、ファーストパーティーの情報収集・利用については、この限りではありません。この「サードパーティー(第三者)」「ファーストパーティー(当事者)」という定義に落とし穴があるという点についてもグルック氏は指摘。

例えば誰かが父親に電話をかけるとき、「当事者」の認識は「自分」と「父親」であって通信サービスを提供するVerizonではありません。これをインターネットに置き換えれば、当事者はウェブサイトを閲覧する「ユーザー」と訪れた「ウェブサイト」になるはずですが、Googleはそこに「Google」を含めているとのこと。


FLoCはブラウザであるGoogle ChromeをベースとしたAPIです。Googleアカウントを作成したり、ChromeやAndroidを使用したりする人は、その使用に際して「Googleをファーストパーティーとして認める」という利用規約にオプトインで同意することになりますが、これによりGoogleはファーストパーティーとしてユーザーを追跡し、行動・興味・関心といった情報を集め、広告に利用することが可能になります。

記事作成時点でChromeは全世界のブラウザシェアを65%も占めており、AndroidはモバイルOSにおいて70%を超える市場シェアを占めています。「ブラウザ」と「OS」の両方を支配しているGoogleは、このような仕組みを利用すれば、Cookieを使わずに広告のための情報を集めることが可能。一方で、サードパーティーとして扱われる広告企業は排除されることになるため、Googleの独占状態は強化されることになります。

◆Googleのこれまでの、そしてこれからの戦略


2007年、Googleはインターネット広告配信のインフラ企業であるDouble Clickを買収し、サードパーティーデータ収集のための競業他者を一掃し、インターネット広告において支配的な地位を得ました。当時のGoogleは「Googleは、DoubleClickが収集した情報を、Googleの検索データと照合することはできない。当社には、顧客が所有する情報をそのような目的で使用する権利がない」と述べていました。しかし2016年時点でGoogleは、以前は匿名だったブラウジングデータを、個人と特定できるデータと結び付けているとのこと。

そしてブラウザ・広告・OSなどで支配的な地位を築いた上で、Googleはプライバシーを口実にサンドボックス(セキュリティ機構)から自分以外の関係者を追い出そうとしているとグルック氏。Googleは消費者に「自分たちはユーザーのプライバシーを尊重している」と信じさせようとしていますが、上記のような理由から、新しいサンドボックスにGoogle検索・Chrome・Android・YouTubeなどは含まれないとグルック氏は述べています。

Googleは「サードパーティーCookieのブロックは他のブラウザも行っている」と述べており、事実、SafariやFirefoxはブロックを実施していますが、「市場を独占していない」という点でGoogleとは立場が異なります。このため、既に実施されているSafariやFirefoxのサードパーティーCookieブロックは「プライバシー向上」を目的としたものである一方で、Chromeの場合は「競業他者を排除する」ものになるとのこと。

Googleが本当に「ユーザーのプライバシー向上」を目指しているのであれば、「サードパーティーによる追跡を廃止する」というルールを自分自身にも適用するはずだとグルック氏は主張しました。

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in ネットサービス, Posted by logq_fa

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