1回接種の新型コロナワクチンがFDAから初の承認を受ける、コロナワクチンとしては3つ目
日本でも医療用品や子ども向けのケア用品などで知られるジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが、アメリカの医療品規制を担当するアメリカ食品医薬品局(FDA)から使用の承認を受けました。FDAから使用承認を受けた新型コロナウイルスワクチンは3つ目で、接種が1回で済むものはJ&Jのワクチンが初です。
FDA authorizes one-dose COVID-19 vaccine - The Verge
https://www.theverge.com/2021/2/27/22301558/covid-vaccine-one-dose-johnson-fda-approval
J&Jが開発したCOVID-19ワクチンは、1回の接種で済み、通常の冷蔵庫で保管できるというもの。COVID-19ワクチンとしてFDAから使用の承認を受けたのは3つ目、1回接種のCOVID-19ワクチンとして承認を受けたのは初めてです。なお、これまでにFDAから使用承認を受けたCOVID-19ワクチンは、ファイザー・BioNTech SEが共同開発した「BNT162b2」と、モデルナが開発した「mRNA-1273」の2つ。
J&JのCOVID-19ワクチンは18歳以上の人が接種できるというもので、臨床試験の段階では安全上の問題は確認されていません。アメリカでの臨床試験の結果としては、1回接種での予防効果が74%となっていますが、新型コロナウイルスの変異型がまん延している南アフリカでは、予防効果がわずかに低下しています。また、初期の調査ではJ&Jのワクチンを1回接種することで、COVID-19の無症状感染を防げる可能性も示唆されました。
モデルナやファイザーのCOVID-19ワクチンはmRNAワクチンですが、J&Jのワクチンはアデノウイルスをベクターとして使用するワクチンです。mRNAワクチンは長期保存には冷凍が必要なのに対して、J&Jのアデノウイルスワクチンは約3カ月の冷蔵保存が可能。また、J&Jのワクチンは1回の接種で済むため、他社製COVID-19ワクチンよりも物流面で大きなアドバンテージを得ます。
なお、ニューヨーク市当局はJ&Jのワクチンは冷蔵保存で済むため戸別訪問に向いているとして、在宅高齢者の接種に使用することを望んでいるとしています。
COVID-19ワクチンを比較することは困難で、その理由はワクチンの予防効果を直接比較するような臨床試験が存在しないためです。モデルナやファイザーのワクチンは、新型コロナウイルスの変異種が登場する前にアメリカやその他の国々で横断的にテストされています。また、臨床試験において定義される「軽度」「中度」「重度」の症状も、それぞれ異なるため、予防効果を数値で比較することは難しいというわけ。
J&Jのワクチンは他の2つのCOVID-19ワクチンと同じように、入院中のCOVID-19患者が死亡することを防ぐ効果が確認されています。ブラウン大学の公衆衛生学部長であるアシシュ・ジャー氏は、「あなたが気にしているのはCOVID-19による入院および死亡です。J&Jのワクチンはそれらを防ぐということに対して、モデルナやファイザーのワクチンと同様の効果があることを示しています」と語り、新型コロナウイルスとの戦いにおいて重要な「死の危険から人々を守る役割」を有しているため、有用なワクチンとなるとしました。
なお、J&Jは約400万回の投与が可能なだけのワクチンを準備しており、アメリカ向けの出荷準備も完了しているとのこと。J&Jは2021年2月末までに1200万回分のワクチンを準備予定としていましたが、400万回分のワクチンしか準備できていないため、製造には遅れが生じている模様。J&Jはアメリカで2021年3月末までに2000万回、6月末までに1億回のワクチン投与が可能な量を準備するとしています。
・関連記事
開発中の新型コロナワクチンが治験で「94.5%の予防効果」を達成したとModernaが発表 - GIGAZINE
「90%超の予防効果がある新型コロナワクチン」をファイザーが開発したと発表 - GIGAZINE
ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの緊急承認をFDAの諮問委員会が支持、近く承認される向きか - GIGAZINE
ファイザーの新型コロナワクチンの有効性は「94%」だと120万人を対象とした研究で判明 - GIGAZINE
・関連コンテンツ