モデルナワクチンのブースター接種で抗体が「83倍」に、オミクロン株の予防効果も確認される

非常に多くの変異を持つ新型コロナウイルスのオミクロン株の出現により、ワクチンの有効性を危ぶむ声が上がるようになりました。そんな中、モデルナが2021年12月20日に、ワクチンを追加で接種する「ブースター接種」によりオミクロン株の新型コロナウイルスに対する抗体が増加したとの速報データを発表しました。
モデルナ、追加接種に関する速報データを発表、オミクロン変異株対応戦略をアップデート|Moderna, Inc.のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000064549.html
Pfizer and BioNTech Provide Update on Omicron Variant | Pfizer
https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-provide-update-omicron-variant
Moderna says booster dose of its COVID-19 vaccine appears protective vs Omicron | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/moderna-says-booster-dose-its-covid-19-vaccine-appears-protective-vs-omicron-2021-12-20/
モデルナによると、新型コロナウイルスワクチンを2回接種済みの人に血液検査をしたところ、オミクロン株に対する中和抗体レベルが全体的に低かったとのこと。そこで、モデルナのワクチンである「mRNA-1273」を50マイクログラムの用量でブースター接種したところ、29日後の抗体価がブースター接種前の約37倍になったことが確認されました。さらに、用量2倍の100マイクログラムのブースター接種を実施したところ、抗体はブースター接種前の約83倍になりました。なお、日本やアメリカでは2回目までの接種では100マイクログラム、3回目の接種では50マイクログラム投与することが推奨されています。
また、ブースター接種から7日後に発生した有害事象の内容と発生頻度は2回目までの接種とほとんど同じだったことから、ブースター接種の安全性と忍容性が高いことも確認されています。ただし、有害事象の発生頻度は50マイクログラムの投与時より100マイクログラムの投与時の方がわずかに高くなる傾向がありました。
今回の試験結果について、モデルナのステファン・バンセルCEOは「オミクロン株による新型コロナウイルス感染症の急拡大は、今や全世界にとって大きな懸念事項です。現在承認されているモデルナの新型コロナウイルスワクチンの追加接種が中和抗体値を約37倍に向上できたというデータは、安心材料となるはずです」と話しました。

モデルナのワクチンだけでなく、ファイザー・BioNTech製ワクチンである「BNT162b2」も初期の試験で良好な結果を示しています。ファイザーが12月8日に公開した試験結果によると、BNT162b2をブースター接種された被験者でオミクロン株に対する中和抗体が25倍に増加したことが確認されているとのこと。
モデルナは2022年初頭にオミクロン株特化型ワクチン「mRNA-1273.529」の臨床試験を実施する予定。また、ファイザー・BioNTech両社は「2022年3月までにオミクロン株特化型ワクチンが利用可能になると見込んでいる」と発表しています。
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