汗からストレスレベルを高精度に測定するウェアラブルデバイスが開発中
人体がストレスを感じると、ホルモンの一種である「コルチゾール」が分泌されることがこれまでの研究から明らかになっています。そして新たに、汗と共に分泌されるコルチゾールの量を測定することで、ストレスレベルを測定するデバイスの開発が進んでいます。
Extended gate field-effect-transistor for sensing cortisol stress hormone | Communications Materials
https://www.nature.com/articles/s43246-020-00114-x
Feeling Burned Out? Scientists Can Now Tell by Monitoring Your Sweat
https://www.sciencealert.com/feeling-stressed-your-sweat-is-giving-you-away-and-there-s-now-a-device-that-can-measure-it
副腎皮質ホルモンの一種であるコルチゾールは、人体がストレスを感じるとアドレナリンと共に血中に分泌されることが知られています。また、血中のコルチゾール濃度が慢性的に高い状態になると、心臓や皮膚に損傷が現れることも明らかになっており、過度なストレスを継続的に受けることの危険性が指摘されています。
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コルチゾールは血中だけでなく、「だ液」「汗」「尿」からも検出することが可能。このことに注目したスイス連邦工科大学ローザンヌ校のAdrian Mihai Ionescu教授率いる研究チームは、体に装着することで汗に含まれるコルチゾールを検出し、ストレスを測定するデバイスを開発しています。
研究チームによると、分泌液に含まれるコルチゾールの濃度は起床後30分時点では0.14~0.69μmol/Lで、夜には0.083~0.36μmol/Lに変化するなど、一日の中で周期的に変化するとのこと。しかしストレスを感じるとコルチゾールの濃度が急激に増加します。
研究チームが開発するデバイスは、グラフェン製の「Extended–gate field effect transistor(EG-FET)」によって、1nmol/L~10μmol/Lの範囲で0.2nmol/L刻みでコルチゾールの濃度を測定できるとのこと。このため、一日の中で変化するコルチゾールの濃度の範囲をカバーし、一日中コルチゾールの濃度を測定できると研究チームは主張しています。
Ionescu氏は、「信頼性が高く、着用可能なストレス測定デバイスがあれば、うつ病や燃え尽き症候群が発症しているかどうかを客観的に判断することができます。また、定量的なデータを得られることで、医師による診断や治療にも役立ちます」と述べ、開発中のデバイスのメリットをアピールしています。
なお、記事作成時点で研究チームは開発中のデバイスのテストを計画中とのことです。
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