サイエンス

たった3日続けて睡眠不足になるだけで心臓に害が及ぶかもしれない


近年は「睡眠不足は健康に悪い」と広く知られるようになっていますが、数日ほどなら大丈夫だろうと、つい睡眠時間を削ってしまうこともあるかもしれません。スウェーデン・ウプサラ大学の研究チームが、たった3日間の睡眠不足が心臓病リスクに関連する血液の変化を引き起こしたことを発見しました。

The overlooked trio: sleep duration, sampling time and physical exercise alter levels of olink-assessed blood biomarkers of cardiovascular risk | Biomarker Research | Full Text
https://biomarkerres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40364-025-00776-0


Just three nights of poor sleep might harm your heart – new study
https://theconversation.com/just-three-nights-of-poor-sleep-might-harm-your-heart-new-study-256534

研究者が心臓病などのリスクを測定する際、血液などに含まれるさまざまなバイオマーカーを使用することがあります。炎症性タンパク質はそんなバイオマーカーの一種であり、体がストレスを受けている時や病気と闘っている時に分泌されます。炎症性タンパク質が長期間にわたり高い値で推移すると、血管に損傷が生じ、心不全・冠動脈疾患・不整脈といった心血管疾患のリスクが高まる可能性があるとのこと。


睡眠不足は心血管疾患のリスク要因として知られていますが、一般的に測定される血中の炎症性タンパク質濃度が、睡眠不足や身体運動などにどのような影響を受けるのかはよくわかっていませんでした。

今回研究チームは、標準体重の健康な男性16人を被験者として募集し、「8.5時間睡眠を3日続ける」あるいは「4.25時間睡眠を3日続ける」という睡眠習慣に従ってもらいました。被験者からは朝と夜に血液サンプルが採取されたほか、3日の実験が終わった後に30分間エアロバイクをこいでもらい、その運動の前後でも血液サンプルが採取されました。


血液サンプル中に含まれる約90種類のタンパク質について分析した結果、睡眠不足がたった3日続いただけでも、心血管疾患に関連する炎症性タンパク質濃度が明らかに上昇することが判明しました。

また、一般に運動をすると、インターロイキン-6脳由来神経栄養因子(BDNF)といった脳や心臓の健康をサポートするタンパク質が増加しますが、睡眠不足の人は運動した場合でもこれらのタンパク質の増加が鈍いこともわかりました。

さらに、血中タンパク質の濃度は朝と夜でも大きく変動しており、その差は睡眠不足になるとより顕著でした。この結果は、睡眠が血液中の成分だけでなく、その変化が現れるタイミングにも影響を及ぼしていることを示唆しています。


今回の研究には関わっていないアイルランド王立外科医学院アニー・カーティス准教授は、「驚くべきことに、これらの変化は若く健康な成人においても、わずか数日の不眠の後に発生しました。成人がたびたび不眠を経験することは一般的であり、約4人に1人は睡眠リズムが乱れるシフト勤務に従事しているため、これは懸念するべきことです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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