Facebookアプリを使う時に収集&追跡されるユーザーデータが明示される、内容はこんな感じ
広告会社やアプリ開発企業がiPhoneユーザーの広告識別子・IDFAを利用するには、ユーザーの事前許可が必要であるという形に、Appleはポリシー変更を行おうとしています。この変更は既存の広告ビジネスを破壊するとして関係者から非難の声があがっていますが、Appleはポリシー変更に先立ってApp Storeからアプリをダウンロードする際に「アプリがどのようなユーザーデータを収集&追跡しているか」を表示するように仕様変更しました。このようなAppleの姿勢に対し、Facebookは新聞の全面広告でAppleに抗議しています。
Facebook criticizes Apple’s iOS privacy changes with full-page newspaper ads - The Verge
https://www.theverge.com/2020/12/16/22178068/facebook-apple-newspaper-ads-ios-privacy-changes
Facebook's attempt to vilify Apple tastes like sour grapes | Facebook | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2020/dec/16/facebooks-attempt-to-vilify-apple-tastes-like-sour-grapes
Latest iOS update shows all the ways Facebook tracks you. There are a lot.
https://mashable.com/article/apple-ios-134-update-app-store-privacy-facebook/
Appleのポリシー変更は2021年に行われる予定ですが、それに先だって、AppleはユーザーがアプリをApp Storeからダウンロードしようとする時に、アプリがどのようなユーザー情報を収集し、ユーザーの行動を追跡しているかを表示するように仕様変更を行いました。
Appleが広告業界のエコシステムを一転させる日が刻々と近づいている - GIGAZINE
手元のiPhoneでは確認できなかったのですが、すでにApp Storeでアプリをダウンロードしようとした時に「アプリがあなたの追跡に利用している情報」と表示されることを確認している人もいます。
Apple exposing all the ways Facebook tracks you with it iOS app is really quite something pic.twitter.com/hDhB85qk1L
— Tom Warren (@tomwarren) December 16, 2020
Facebookの場合、アプリ追跡に利用している情報は以下の通り。「サードパーティ広告」には「物理的な住所・メールアドレス・名前・電話番号」といった連絡先情報、「ユーザーID」「デバイスIDEA」といった識別子、「その他情報」と記載されています。
「開発者の広告もしくはマーケティング」や「分析」の項目にも同様の情報の記載があります。
そのほか「製品のパーソナライゼーション」「アプリの機能性」
「その他目的」にもデータが利用されていることがわかります。
「あなたと結び付けられるデータ」には、「購入履歴」「そのほか金融情報」「位置」「連絡先」
「写真や動画、プレイしているゲーム、その他ユーザーコンテンツ」「検索履歴」「ブラウジング履歴」「識別子」「データ利用」「診断」「その他データ」など大量の情報と結び付けられていることがわかります。
App Storeの仕様変更についてAppleが告知したのは2020年12月14日。その後、16日付でFacebookはニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルといった新聞に以下のような全面広告を掲載しました。
広告に書かれている内容は以下の通り。
「Facebookでは小規模ビジネスがコアとなっています、1000万以上のビジネスが毎月、新しい顧客を見つけたり、従業員を雇ったり、コミュニティを充実させるために私たちの広告ツールを利用しています。
多くの小規模ビジネスのコミュニティはAppleがソフトウェアアップデートを強いていることを懸念しています。これはビジネスがパーソナライズされた広告を出して効率的に顧客にリーチする能力を制限するものです。
デロイト・トウシュ・トーマツの調査によると、小規模~中規模ビジネスの44%がパンデミックの期間にパーソナライズされた広告を使用開始したか、使用を増加させました。またFacebookのデータから、パーソナライズされた広告を使わなかった場合、小規模ビジネスは広告費用に1ドルに対する売り上げの60%が減少することもわかっています。
パーソナライズされた広告を制限することは、私たちのような大企業にも影響しますが、小規模ビジネスには壊滅的な影響を与えます。既に彼らは大きな変化を目の当たりにしています。
小規模ビジネスの声を聞くべきです。私たちはあなたの声を聞き、あなたとともに立ちあがります」
そして、これと同時にFacebookは小規模ビジネスを運営する人々の声を集めたウェブサイトも立ち上げています。
Speak Up For Small Business: Impact Of Apple’s Latest Update | Facebook for Business
https://www.facebook.com/business/apple-ios-14-speak-up-for-small-business
またニュースルームでも、FacebookはAppleのポリシー変更を明確に批判。Appleの新しいポリシーはプライバシーに関するものではなく、自社利益のためのものであり、企業が広告を利用できなくしてサブスクリプションやアプリ内支払いに頼らざるを得ない状況を作り出そうとしていると指摘しました。
Speaking Up for Small Businesses - About Facebook
https://about.fb.com/news/2020/12/speaking-up-for-small-businesses/
なお、AppleがApp Store経由でダウンロードされるアプリに対し、売上げの30%を手数料として徴収していることは、かねてから問題として指摘されていました。フォートナイトやUnreal Engineの開発元であるEpic Gamesはこの点についてAppleを提訴していますが、Facebookはこの訴訟に参加して「Appleのポリシーが他のビジネスにどのような悪影響を与えているか」という情報を提供しようとしていると報じられています。
Facebook Wades Into ‘Fortnite’ Maker’s Dispute With Apple - WSJ
https://www.wsj.com/articles/facebook-looks-for-allies-in-privacy-battle-with-apple-11608138311
・つづき
「Appleがインターネットを悪い方に変える」とFacebookが新聞に全面広告を出す - GIGAZINE
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