Facebookが「盗聴しているのでは?」と思える精度でユーザーの行動を追跡できるのはなぜなのか?
by barbara w
「ユニクロの服を試着できる?」と発言した日の夜にFacebook上にユニクロの広告が表示されたり、「デジタルスケール1番いいやつって何?」と聞いた数分後にInstagramにデジタルスケールの広告が表示されたという報告から、「Facebookはスマートフォンのマイクを使って情報収集を行い、広告に利用しているのでは?」というウワサはかねてから流れていました。しかし、マイクを使わなくてもユーザーのオフライン時の行動を追跡可能だとして、ウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニストであるJoanna Sternさんは、その仕組みを実例とともに解説しています。
Facebook Really Is Spying on You, Just Not Through Your Phone’s Mic - WSJ
https://www.wsj.com/articles/facebook-really-is-spying-on-you-just-not-through-your-phones-mic-1520448644
「Facebookはマイクを使って情報収集を行っているのでは?」という内容についてFacebookは2016年に「Facebookは広告やニュースフィードのために電話のマイクを使っていません」と否定しています。しかし、Facebookが否定したからといって、実際にマイクが広告に利用されていないという証明にはなりません。そこで、Sternさんはテクノロジーの専門家であるFacebookの元従業員に連絡をとったところ、「技術的、法的な理由からオーディオを使ったスヌーピングは不可能だ」という答えが返ってきたとのこと。収集した大量の音声データから詮索することは、たとえ実施したのがNSAであってもリソースを圧迫することになると元Facebook社員は述べています。
では、オンライン上だけではなく、オフラインでユーザーが行ったことについてもFacebookが把握しているのはなぜなのか?というと、「マイク」以外の別の方法によって情報収集を行っているとのこと。
例えば、鼻づまり用の点鼻薬「Sudafed」の広告がSternさんのFacebook上に表示されたのは、薬局チェーンの「ウォルグリーン」で行った買い物に端を発します。SternさんはティッシュとAfrinという鼻炎スプレーをウォルグリーンで購入したのですが、その際、ポイントカードを手に入れるのと引き替えに電話番号を登録したそうです。登録した電話番号やメールアドレスといった情報は、ウォルグリーンの購入履歴と共に、データを収集するサードパーティーによって集められます。
一方で、Sudafedを販売するジョンソン・エンド・ジョンソンは情報を得るためにデータブローカーにお金を払っています。Facebookのツールを使えばユーザーのメールアドレスや電話番号を得ることができるので、それをブローカー経由で得たポイントカードの情報と照合します。この時、ブローカーがアップロードした情報は個人が特定できないようアルゴリズムで処理されているとFacebookは説明していますが、それでもFacebookアカウントと情報を照合させることは可能とのこと。
このような仕組みによって、Facebookは「Sudafedや類似商品を購入した25~54歳の人」とターゲットを絞って広告を表示させることができます。
つまり、ポイントカードの登録が広告表示のカギとなっており、情報をFacebookに取得されないためにはポイントカードを使わないか、もしくは使っていない電話番号やメールアドレスを登録する必要があるわけです。
そして、購入履歴以上に利用されている個人情報に、「位置情報」があります。お店に立ち寄った時に位置情報が把握されると、再びお店を訪れるように広告が表示されたり、お店の近所を歩いている時にクーポンが表示されたりします。
Facebookに自分の位置情報を知られたくない場合は、Facebookのモバイルアプリから設定の変更が可能。メニューアイコンをタップして……
「設定」をタップ。
「アカウント設定」から……
「位置情報」をタップ。
位置情報を「許可しない」に設定するとともに、「位置情報履歴」をオフにすればOKです。
また、他のアプリについても位置情報を許可すると、最終的にFacebookの広告に利用されることがあるので、Facebookアプリに限らず、位置情報を許可する前に一考する必要があるとSternさんは述べています。
また、Sternさんが「Lose It!」という食事トラッキングアプリをiPhoneにダウンロードした際には、アプリをダウンロードしてから24時間経過しないうちにFacebookやInstagramにフィットネスや減量の広告が現れたといいます。無料版のLose It!はFacebookのAudience Networkを利用しており、ユーザーがアプリを使用する際にFacebookのログインを行わなくとも、アプリにFacebookのモバイルターゲティング機能を生かした広告を配信する仕組みになっていたとのこと。
Sternさんによると、Lose It!の場合はiPhoneの広告識別子(IDFA)をFacebookを含めた他のサービスのIDFA履歴と照合することで、広告表示を行っていたとのこと。このような広告表示をやめさせるためには、iOSの場合、「設定」から「プライバシー」を選択。
「Facebook」を押し……
「追跡型広告を制限」をオンにします。
Androidの場合は「設定」から「Google」を選択。
さらに「広告」をタップし……
「広告のパーソナライズをオプトアウトする」をオンにします。
FacebookやInstagram上の投稿や交友関係といったさまざまな情報を総括して作成した「あなた」のポートレートは、年収・車の好み・趣味といったブローカーの情報と合わせることで、より鮮明なものになります。このポートレートから、広告主はFacebookの広告マネージャを使ってターゲティングを開始します。広告マネージャは広告を職業としていないSternさんでもログイン可能で、特定の郵便番号に住む「家具を購入した人」「スパイスで料理した人」「引越しそうな人」などに焦点を当てることができたとのこと。
Sternさんは、結論として、Facebookの追跡を完全に止めることは難しく、アプリを削除して地下室にこもるくらいしか方法がないということを述べています。
Facebookは「ターゲティングがうまくいけば、広告の内容もよりよいものとなります。ターゲティング広告はユーザーが『何を見るのか』を自分でコントロールできるようにし、人々の個人情報を広告主と共有しないための方法なのです」と語っていますが、Sternさんは、「どのようにターゲティングを行っているかが不透明であり、ユーザーの現実の世界の行動をFacebookがどのように把握しているかわからない以上、プライバシーの所在がわからない」という問題を指摘しています。
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