孤独な人は「内なる声」と会話するため脳に特徴があることが判明
孤独であるかどうかは人の幸福を大きく左右するといわれていますが、孤独であるか否かは脳の特徴からも判別可能なことが新たな研究で示されました。
The default network of the human brain is associated with perceived social isolation | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-020-20039-w
Lonely people have a unique brain signature, perhaps due to so much imagined social contact
https://www.psychnewsdaily.com/lonely-people-have-a-unique-brain-signature-perhaps-due-to-so-much-imagined-social-contact/
カナダにあるマギル大学の研究者たちは、イギリスのオープンデータベースであるUKBiobankの情報を利用し、3万8701人の脳スキャン画像を調査しました。被験者の内訳は、47.5%が男性、52.5%が女性で、年齢は40~69歳とのこと。被験者は自分が孤独かどうかについてのアンケートに回答しており、孤独を感じると答えた人は全体の13%。うち39%が男性、61%が女性でした。
アンケート結果と脳スキャン画像の関係を研究チームが分析したところ、自分は孤独であると答えた人は、「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる脳領域のいくつかが、孤独ではないと答えた人に比べて大きいことが判明しました。デフォルトモードネットワークは自己認識や記憶に関係する部位といわれており、人が内省したり何かを想像したりする時に活性化するといわれています。
これまでの研究から孤独を感じる人は社会的経験の欠如を補うために頭の中で考えることにより集中しやすいことがわかっています。これらの人の思考パターンには、平均以上の「回想」と「想像上の社会的交流」が含まれるため、自己について考えることが増加することでデフォルトモードネットワークの領域に影響があった可能性が考えられるとのこと。
「望む社会的経験が欠如することにより、社会的な空虚を満たすべく、孤独な人は内なる認識に偏る傾向があるのかもしれません」と研究者は述べています。
2007年には孤独な人は動物やガジェットといった人間以外のものを人間のように扱うことや、架空の会話が多いことが示されており、これは今回の研究結果とも一致します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で外出が制限されるようになり、孤独を感じる高齢者の数は2倍になったといわれています。孤独であることは健康上のリスクとなり、肥満よりもはるかに有害とも指摘されることもあります。今回の研究は、孤独が脳でどのように機能するのかを理解し、孤独という疾患の予防や治療につながるものとみられています。
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