AMDのRDNA2アーキテクチャ最上位GPU「Radeon RX 6900 XT」に関する海外メディアのレビューまとめ
2020年10月に発表されたAMDのRDNA2アーキテクチャGPU搭載のグラボの中で、最上位機種である「Radeon RX 6900 XT」が2020年12月11日に発売されます。発売に先駆けてさまざまなメディアからレビューが公開されていたので、Radeon RX 6900 XTが海外メディアからどんな評価をされているのかまとめてみました。
◆ゲーム性能
さまざまなハードウェアのレビューを公開するTom's Hardwareは、Intel Core i9-9900Kと32GBのDDR4メモリを搭載したPCに、Radeon RX 6900 XTや競合のGeForce RTX 3090を含む7種のグラフィックスボードを組み込んで、最新の13種のゲームを4K最高設定で動作させた際の平均フレームレートを計測しました。その結果が以下のグラフ。Radeon RX 6900 XTの平均フレームレートは85.0fpsで、競合であるGeForce RTX 3090の93.6fpsには及ばないものの、GeForce RTX 3080の82.6fpsよりは高いフレームレートを示しており、ライバルであるNVIDIAのハイエンドGPUと真っ向勝負できる性能を備えていることが分かります。
ゲームごとのフレームレートを比較すると、AMD製GPU向けに最適化された「Borderlands 3」ではRadeon RX 6900 XTは75.5fpsとGeForce RTX 3090の75.9fpsに近いフレームレートを示し、手動オーバークロックを施したRadeon RX 6900 XTは80.5fpsとGeForce RTX 3090を超える性能を発揮しています。
それに対し、NVIDIA製GPUに最適化された「Final Fantasy XIV」では、Radeon RX 6900 XTの平均フレームレートは108.6fpsと、GeForce RTX 3090だけでなくGeForce RTX 3080よりも低いフレームレートを示す結果となりました。
さらにレイトレーシング対応ゲームである「Watch Dogs Legion」でレイトレーシングを有効にした状態でフレームレートを測定すると、Radeon RX 6900 XTは20.6fpsで、GeForce RTX 3080の29.8fpsから大きく離される結果に。なお、このテストではNVIDIAの負荷軽減機能であるDLSSを無効にした状態で行っています。Tom's Hardwareによると、DLSSを有効にすると性能差はさらに大きくなるとのこと。
テクノロジー系サイトのPCWorldはオーバークロックしたIntel Core i7-8700KとRadeon RX 6900 XTを含むグラフィックスボードを組み合わせて、「Horizon Zero Dawn」における平均フレームレートを測定しました。その結果が以下のグラフ。赤色の線は1440p、青色の線は4Kにおける平均フレームレートを示しています。Radeon RX 6900 XTは1440pでは143fps、4Kでは89fpsを記録しており、どちらの解像度でもGeForce RTX 3090の平均フレームレートを上回っています。
次に、「Metro: Exodus」の4K解像度での平均フレームレートを測定することでレイトレーシングの有無、DLSSの有無による平均フレームレートの違いを調べました。以下のグラフの、緑色の線がレイトレーシング有効・DLSS有効で、赤色の線がレイトレーシング有効・DLSS無効、青色の線とRadeon RX 6900 XTのオレンジ色の線がレイトレーシング無効・DLSS無効を表しています。レイトレーシングの有無にかかわらずRadeon RX 6900 XTの平均フレームレートはGeForce RTX 3090の平均フレームレートを下回っています。さらに、GeForce RTX 3090ではDLSSを有効にすると、レイトレーシングを有効にしていても、レイトレーシング無効時の平均フレームレートに近い平均フレームレートで動作させることが可能で、DLSSの有能さがよく分かります。
PCWorldによると、AMDはDLSSに似た負荷軽減機能「FidelityFX Super Resolution」の開発に取り組んでいますが、記事作成時点では対応しているゲームが存在しないため、レイトレーシングにおいてはNVIDIA製GPUに大きく差を付けられているとのこと。
PCWorldは「Radeon RX 6900 XTはRadeon RX 6800 XTと比べて1440pで4.2%、4Kで6.7%の性能向上が確認できたが、価格は53%高くなっている。AMDのファンで最高性能を求めるならRadeon RX 6900 XTを買う価値はあるが、ほとんどのゲーマーは近い性能で大幅に安いRadeon RX 6800 XTかGeForce RTX 3080を勝った方が幸せになれるだろう」と締めくくりました。
◆クリエイティブ性能
ハードウェア関連のニュースを扱う「HotHardware」は、計算処理ソフトにおける性能を測定することで、Radeon RX 6900 XTのクリエイティブタスクにおける性能を評価しています。
科学分析や画像処理に関するパフォーマンスを測定する「SiSoft SANDRA 2020」でGPGPUによる画像処理性能を測定した結果が以下のグラフ。Radeon RX 6900 XTとRadeon RX 6800 XTが上位に位置し、GeForce RTX 3090よりも高いスコアを示しています。
それに対して、GPUによる3DCGレンダリング性能を測定する「IndigoBench」のベンチマークスコアを見ると、Radeon RX 6900 XTのスコアはGeForce RTX 3090だけでなく、NVIDIAの前世代最上位GPUのGeForce RTX 2080 Tiにも劣る結果となりました。
Radeon RX 6900 XTは、用途によってはGeForce RTX 3090に勝る性能を発揮します。また、Radeon RX 6900 XTに採用されているRDNA2アーキテクチャは、PlayStation 5や、Xbox Series Xといった最新ゲーム機にも採用されているため、ゲーム開発者による最適化が優先的に行われ、将来的に本来の性能が引き出されることが期待できるとのこと。
◆入手性
テクノロジー関連のニュースサイトであるAnandtechは、Radeon RX 6900 XTの最大の問題点は「入手性の低さ」であるとしています。
Radeon RX 6900 XTは他のRadeon RX 6000シリーズや、AMDの最新CPUであるRyzen 3000シリーズと同様に7nmプロセスで製造されています。さらに、Radeon RX 6900 XTには519平方mmというGPUにしては広い面積のウェハーを厳選して使う必要があるため、歩留まりが悪くなり、市場に流通する数が少なくなることが予想されるとのこと。
なお、日本ではRadeon RX 6900 XTは2020年12月11日の19時に発売開始予定で、国内価格は記事作成時点では未定です。
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