サイエンス

溶岩の海に岩の雨が降り注ぐ地獄のような星「K2-141b」


地球からおよそ202光年離れたところにある太陽系外惑星が、「時速5000kmの風が吹きすさび、深さ100kmの溶岩の海に岩石が降り注ぐ」というまさに地獄のような環境の星であるという研究結果が発表されました。

Modelling the atmosphere of lava planet K2-141b: implications for low- and high-resolution spectroscopy | Monthly Notices of the Royal Astronomical Society | Oxford Academic
https://academic.oup.com/mnras


Supersonic winds, rocky rains forecasted on lava planet - McGill University
https://www.mcgill.ca/newsroom/


マギル大学ヨーク大学・インド科学教育研究所の研究チームが惑星環境をシミュレーションしたのは、2018年に発見された太陽系外惑星のK2-141bです。K2-141bは地球からおよそ202光年ほどのところにある恒星を約0.3日で公転する惑星で、半径は地球のおよそ1.5倍、質量は地球のおよそ5倍ほどあります。


研究チームが、K2-141bの日照パターンを分析したところ、地球では12時間周期で昼と夜を繰り返すのに対して、K2-141bは地表の約3分の2が常時昼になっていることがわかりました。また、昼の温度は3000度で、夜は-200度という極限環境になっていることも判明。

3000度という温度は、ナトリウムや一酸化ケイ素、二酸化ケイ素を含む岩石をドロドロに溶かしてしまうため、K2-141には溶岩の海が広がっていると考えられるとのこと。また、地球では「水が蒸発して凝縮して雨が降る」というサイクルがあるように、K2-141b上では「岩石が3000度の高温によって蒸発し、時速5000kmの風によって夜の部分に運ばれ、凝縮して雨となって降り注ぐ」というサイクルがあると、研究チームは述べています。


ただし、K2-141bのサイクルは、地球上の水のサイクルほど安定していないそうです。溶解と凝縮を繰り返すことで、K2-141bの鉱物組成は変化し、最終的に惑星の地表と大気は完全に変わるだろうと研究チームは予測しています。

研究チームの1人であるニコラス・コーワン氏は「K2-141bの大気が溶岩の海を越えて広がり、惑星でありながら望遠鏡で見つけやすくなる可能性があります」「地球を含むすべての岩石惑星は、最初は溶岩の海が広がる世界でしたが、その後急速に冷却されて固化しました。K2-141bのような溶岩惑星は、惑星の進化の途中を見せてくれる珍しい存在です」と述べています。


研究チームは、2021年10月に打ち上げが予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使い、K2-141bをより詳しく観測したいと今後の課題を述べています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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