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大統領選でバイデン氏が勝利したことでテクノロジー業界にどのような影響が及ぶのか?

by jlhervàs

2020年アメリカ大統領選挙は民主党のジョー・バイデン氏の当選が確実となったと報じられており、トランプ政権下で進められていたさまざまな政策の転換が図られるとみられています。バイデン氏の勝利がテクノロジー業界に与える影響について、海外メディアのProtocolがまとめています。

What Biden's victory means for tech - Protocol
https://www.protocol.com/biden-election-victory-2020


バイデン氏は民主党の大統領候補に選出されて以来、ハイテク業界の人々から圧倒的な指示を得ています。そのため、バイデン氏がアメリカの第46代大統領に選出されたことで、アメリカのハイテク業界は安堵のため息をついたとProtocolは述べています。

トランプ氏は移民・貿易・ネットワーク中立性・SNSのコンテンツ検閲など、さまざまな部門でハイテク業界と対立してきました。バイデン氏が当選したことにより、テクノロジー業界はさまざまな問題が正常な状態に戻ることを期待しているとのこと。

投資家のブラッドリー・タスク氏はProtocolに対し、「共和党支持者も含めてみんなが気に入るであろうものは、比較的穏やかで退屈な大統領です。トランプ政権時は毎日不安と混乱の連続でした」と述べています

その一方でProtocolは、民主党のバイデン氏が当選したからといって、シリコンバレーを持ち上げて宣伝したオバマ政権の時代に戻ることを期待するべきではないと指摘。2016年にトランプ大統領が当選して以来、テクノロジー業界を取り巻く非常に多くの変化があったため、巨大ハイテク企業に対する世論の厳しい目線がなくなることはないとProtocolは考えています。


バイデン氏は選挙活動の中で、オバマ氏のようにテクノロジー業界への全面的な好意を示したり、トランプ大統領が行ったように強く反発したりしませんでした。また、上院と下院でのねじれが継続する見込みが高いこともあり、テクノロジー業界に何が起こるのかを正確に予想することは難しいとのこと。

とはいえ、バイデン氏が実行することがほぼ明らかになっている政策もいくつかあります。トランプ氏は、一部の就労ビザの発給を一時停止して制限を強化する大統領令に署名するなど、移民やビザに関する規制を強めていました。バイデン氏は「恒久的な仕事ベースの移民」を増やす方針であり、これらの大統領令の多くを覆すとみられています。

テクノロジー関連の業界団体・TechNetのリンダ・ムーアCEOは、「就任1日目または2日目に移民に関する大統領令を撤廃しなかった場合には驚きます」と述べ、バイデン氏による方針の転換が多くの問題を軽減することに期待を寄せました。ムーアCEOは選挙活動の中で右派のグループからも支援を得られたと感じており、議会において共和党に働きかける上で、右派の声は重要になるだろうと考えています。

また、ネットワーク中立性やブロードバンドアクセスの問題に関しても、バイデン氏はオバマ氏の方針を踏襲する可能性が高いとみられています。バイデン氏は公約として、ブロードバンドインフラストラクチャに200億ドル(約2兆700億円)を投資する計画を打ち出しており、リモートワークや遠隔学習などの需要が高まる中で、バイデン氏の支援が大きな役割を果たすことが期待されているそうです。


トランプ大統領が力を入れてきた政策の中に、「通信品位法230条(セクション230)」についての見直しがあります。セクション230は、ユーザーが投稿した内容について例外を除きソーシャルメディアの運営会社が法的責任を負わないことを定めたものであり、これが見直されればSNSの弱体化につながるとされてきました。

しかし、バイデン氏はセクション230についてほとんど言及してきませんでした。業界団体・アメリカ情報技術工業協議会のジェイソン・オックスマンCEOは、バイデン氏が取り組む事柄のリストにおいて、セクション230が上位にあるとは考えにくいと指摘。もちろん、議会の共和党員がコンテンツの検閲についてハイテク企業に圧力をかけ続ける可能性があるため、完全にセクション230の問題がなくなるわけではありませんが、少なくともバイデン氏がセクション230の改革に乗り出す可能性は低いとみられています。

バイデン氏はTikTokをはじめとする中国のハイテク企業への対応についても、トランプ大統領とは違う路線を歩む可能性があります。気候変動や新型コロナウイルスの封じ込めといった課題を掲げるバイデン氏は、さまざまな局面で中国の協力を必要としているため、中国が外交および経済的な脅威となる可能性がある中で、微妙な判断を迫られるとのこと。


Protocolが「ハイテク業界にとって最も未知数の問題かもしれません」と指摘するのは、独占禁止法問題に関するバイデン氏のアプローチです。トランプ政権下では、超党派の議員グループが巨大テクノロジー企業の独占禁止法違反について追及し、アメリカ司法省も巨大テクノロジー企業の独占禁止法違反について調査・提訴しました。また、バイデン氏と民主党候補の座を争ったエリザベス・ウォーレン氏やバーニー・サンダース氏も、独占禁止法違反に基づく巨大テクノロジー企業の解体を掲げていました。

バイデン氏はウォーレン氏・サンダース氏ほど強く巨大テクノロジー企業の解体を主張したわけではありませんが、独占禁止法に基づく巨大テクノロジー企業への批判は勢いがあり、バイデン氏も同様の路線を取る可能性があります。元アメリカ連邦通信委員会委員であるロバート・マクダウェル氏は、「トランプ氏とバイデン氏の独占禁止法部門には、大きな違いがないかもしれません」と述べました。

by jlhervàs

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in メモ, Posted by log1h_ik

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