Googleが「独占禁止法違反」で司法省から提訴される
by Thomas Hawk
アメリカの司法省が2020年10月20日に、Googleを独占禁止法違反の疑いで提訴したことを発表しました。司法省は今回の提訴について、1974年のAT&T訴訟や1998年のMicrosoft訴訟に続く重大な訴訟事件と位置づけています。
Justice Department Sues Monopolist Google For Violating Antitrust Laws | OPA | Department of Justice
https://www.justice.gov/opa/pr/justice-department-sues-monopolist-google-violating-antitrust-laws
A deeply flawed lawsuit that would do nothing to help consumers
https://blog.google/outreach-initiatives/public-policy/response-doj/
司法省は10月20日に、「Googleが検索及び検索広告市場において、反競争的で排他的な慣行を通じた独占状態を違法に維持していることを阻止し、競争上の害を是正するため、コロンビア特別区連邦地方裁判所に民事独占禁止法違反訴訟を提起しました」と発表しました。今回の提訴には、司法省のほかアーカンソー州やフロリダ州など11の州の司法長官も加わっているとのこと。
司法省のウィリアム・バー司法長官は、発表声明の中で「今日では、多くの人が毎日インターネットやオンラインプラットフォームに頼って生活しており、この業界における競争は極めて重要です。従って、インターネットの門番たるGoogleの独占禁止法違反に挑む今回の訴訟は、司法省のみならずアメリカ国民にとっても記念碑的な事件といえます」と述べました。
また、ジェフリー・ローゼン副司法長官は、「AT&TやMicrosoftに対する歴史的な独占禁止法違反行為と同様に、本省はGoogleに対して再び独占禁止法の中心的な法律であるシャーマン法を発動し、競争を復活させ、次なるイノベーションへの扉を開きます」と述べて、今回のGoogleに対する訴訟は歴史的な大型訴訟であるとの見方を示しました。
アメリカでは、かねてからGoogleが独占禁止法に違反しているとの見方が強まっており、司法省の反トラスト部門は2019年7月から、Googleを含む大手IT企業に対する調査を進めてきました。また、2020年7月にはアメリカ下院司法委員会の反トラスト小委員会がGoogleのサンダー・ピチャイCEOを公聴会に招集し、聴き取りを行っていました。
Google・Amazon・Facebook・Appleはライバルを一掃して市場を独占しているのか、各CEOの発言はこんな感じ - GIGAZINE
公聴会にはGoogleのほか、Amazon・Facebook・Appleの各CEOも招集されましたが、最も多くの質問が集中したのがGoogleに対する「Google検索の結果で自社製品を優遇している」という問題でした。今回、司法省がGoogleの広告事業全般ではなく、Googleの検索と検索広告市場に対象を絞って提訴に踏み切ったのも、こうした流れを受けてのものだと見られています。
Googleのケント・ウォーカー国際問題担当シニアバイスプレジデントは、20日に公式ブログを更新し「司法省による本日の訴訟には大きな欠陥があります。それは、人々がGoogleを使用しているのは強制されたり代替手段が見つからなかったりしているためではなく、選んだからです」と反論。MicrosoftがWindowsデバイスのブラウザ・Edgeのデフォルトの検索エンジンをBingに設定している点や、Googleがデフォルトの検索エンジンになっている製品でも、消費者が容易に検索エンジンを変更可能なことなどを指摘して、独占禁止法に違反しているとの嫌疑を否定しました。
Googleが対抗姿勢を示していることから、司法省による提訴は長期化すると予想されています。ニューヨークタイムズ紙は、1998年のMicrosoft訴訟が10年以上長引いたことに言及し、「今回のGoogleへの提訴がトランプ政権より長生きする可能性は高いでしょう」との見方を示しました。
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