独占禁止法違反で捜査されているGoogleに対して政府が「Chromeの売却」を命令する可能性が浮上
by Stephen Shankland
Googleは「ユーザーデータや検索広告を独占することにより、競合他社を排除している」として、独占禁止法違反の疑いで調査されています。Googleに対する調査を進めるアメリカ司法省や検察官らが、「ウェブブラウザ・Chromeの売却をGoogleに命じる」ことを検討していると、海外メディアのPOLITICOが報じました。
Feds may target Google’s Chrome browser for breakup - POLITICO
https://www.politico.com/news/2020/10/10/feds-may-target-googles-chrome-browser-for-breakup-428468
1600億ドル(約1兆7000億円)を超える規模のデジタル広告市場において、Googleは大きな支配力を有していると指摘されており、Amazon・Facebook・Appleなどと共に独占禁止法違反の調査対象となっています。
2020年10月に下院司法委員会が民主党主導で発表したレポートでは、Googleはオンライン検索機能やウェブブラウザのChrome、その他のサービスから得られる広範なユーザーデータをリンクさせ、広告市場における優位性を強化していると指摘されました。
Google・Amazon・Facebook・Appleの市場独占に関する民主党主導のレポートが公開、共和党の議員からは反発も - GIGAZINE
POLITICOに情報提供を行った匿名の人物によると、司法省や検察官らはGoogleの市場独占力を抑制する方法について話し合っており、その一つの案として「Googleが所有する一部事業の売却」が挙げられているそうです。司法省や州司法長官らは競合他社や第三者にも意見を求め、売却を命じる事業について検討を行っており、その中で「ウェブブラウザのChromeを売却する案」も浮上しているとのこと。
2008年にリリースされたChromeは、今やアメリカで最大の市場シェアを誇るウェブブラウザに成長しています。ChromeはGoogleの広告ビジネスにおいても重要な役割を果たしていると指摘されており、「Googleが広告ビジネスを支援するためにChromeユーザーのウェブ履歴を利用している」との非難も寄せられています。
こうした非難を受けて、Googleは2020年1月に「2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する」と発表。これにより、ユーザーのプライバシー保護がより強化されるとGoogleは主張しています。
Chromeは2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する方針 - GIGAZINE
サードパーティーCookieのサポート廃止はユーザーのプライバシー強化につながる一方で、「ウェブ広告により成り立っている多くのウェブサイトのビジネスモデルを損なう」「Cookieに代わる回避策が普及する」といった懸念の声も上がっています。
下院司法委員会のレポートでは、Chromeの高い市場シェアによってGoogleが「業界の基準を効果的に設定」できると指摘されており、Chromeの市場シェアがGoogleの優位性を強化する構造になっているとのこと。この問題を解決するため、司法省や検察官らはGoogleに対して「Chromeの売却」を命じることを検討しているとPOLITICOは述べています。また、Googleが所有する広告事業の一部を売却させることも議論されている模様。
また、Chromeや広告事業の売却という大規模なオプション以外にも、「GoogleがChromeから得たデータを他のサービスを支援するために使用する方法を制限する」といった、より穏便なオプションも議論されているとのことです。
by Carlos Luna
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