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TwitterやFacebookの法的保護を制限する「セクション230の明確化」に連邦通信委員会が動き出す


新聞社や出版社は「検閲」や「編集」を行うために掲載したコンテンツに対して法的責任を負いますが、SNSや掲示板といったプラットフォームの運営側は直接的なコンテンツの提供者ではないため、これが免責されるとアメリカの通信品位法230条(セクション230)で定められています。しかし、2020年5月にトランプ大統領がセクション230の見直しを求める大統領令に署名したことを受け、ついに連邦通信委員会(FCC)がその明確化に取り掛かると発表しました。セクション230の見直しが現実になればSNSが弱体化するとして注目が集まっています。

FCC Chairman says he will 'clarify' tech legal shield, Section 230
https://www.cnbc.com/2020/10/15/fcc-chairman-says-he-will-to-clarify-tech-legal-shield-section-230.html

FCC Signals Regulation Following Social Media Controversy – WWD
https://wwd.com/business-news/technology/fcc-ajit-pai-social-media-facebook-twitter-section-230-1234636401-1234636401/

FCC will move to regulate social media after censorship outcry - The Verge
https://www.theverge.com/2020/10/15/21518097/fcc-social-media-censorship-moderation-ajit-pai-section-230-nypost-biden

2020年5月にTwitterがトランプ大統領の投稿に対して「誤解を招く可能性がある」とラベル付けを行ったことをきっかけに、トランプ大統領がこの免責の見直しを行う大統領令に署名を行いました。この大統領令を受け、6月には司法省で「テクノロジー企業の保護を縮小する立法案」が議論されたことが報じられましたが、新たにFCCの会長であるアジット・パイ氏が、セクション230の明確化に向けて、ルール作成を進める予定であると発表しました。

トランプ大統領が「表現の自由」のためにソーシャルメディアを標的とした大統領令に署名 - GIGAZINE


パイ氏は声明の中で、Clarence Thomas最高裁判事が「裁判所にはセクション230について正しい解釈を行う義務がある」と述べたことに言及。「ソーシャルメディア企業にはアメリカ合衆国憲法修正第1条の言論の自由が適用されますが、これは新聞や放送といった他のメディアには認められない特別な免責を保証するわけではありません」とパイ氏は述べました。

I intend to move forward with an @FCC rulemaking to clarify the meaning of #Section230.

Read my full statement below. pic.twitter.com/LhUz5XMdSC

— Ajit Pai (@AjitPaiFCC)


セクション230がどのような形で明確化されるのかは記事作成時点では不明ですが、FCCの委員を務める民主党のジェシカ・ローゼンウォーセル弁護士は「FCCに大統領のスピーチ警察になる事業はありません」とこの動きに反発。

The FCC has no business being the President’s speech police. #Section230 pic.twitter.com/cDYPqjxRRU

— Jessica Rosenworcel (@JRosenworcel)


また同じく民主党のジェフリー・スタークス弁護士は「我々は選挙のさなかにあり、セクション230に関する大統領令は政治的な目的のものであり、法的に不健全です。FCCは大統領の入札を行うべきではありません」とコメントしています。

We’re in the midst of an election. The President’s Executive Order on #Section230 was politically motivated and legally unsound. The FCC shouldn’t do the President’s bidding here.https://t.co/3XuBZuDAwt

— Geoffrey Starks (@GeoffreyStarks)


なお、SNSの運営側のラベル付けは引き続き行われており、10月14日にはジョー・バイデン前副大統領と息子のハンター氏をウクライナのエネルギー会社と関連付けたニューヨーク・ポストの記事の拡散をFacebookとTwitterが制限したとして大統領側から大きな非難を受けました。ウクライナのエネルギー会社はトランプ大統領の弾劾調査で言及された企業です。これを受け、Twitterのジャック・ドーシーCEOが上院司法委員会から召喚されているとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えています。

Email reveals how Hunter Biden introduced Ukrainian biz man to dad
https://nypost.com/2020/10/14/email-reveals-how-hunter-biden-introduced-ukrainian-biz-man-to-dad/

Senate to Subpoena Twitter CEO Over Blocking of Disputed Biden Articles - WSJ
https://www.wsj.com/articles/senate-to-subpoena-twitter-ceo-over-blocking-of-new-york-post-articles-on-bidens-11602777128

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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