メモ

アメリカ政府が就労ビザの取得要件を厳格化、3分の1の申請が却下される可能性も


アメリカの労働省国土安全保障省は2020年10月6日、ドナルド・トランプ政権による外国人労働者政策の一環として、専門性の高い仕事に従事する外国人労働者に発給される「H-1Bビザ」の取得要件を厳しくすると発表しました。新たに発表された規則により、ハイテク産業におけるH-1Bビザで働く外国人労働者の雇用に影響が出ると見られています。

Department of Homeland Security and Department of Labor Rule Restores Integrity to H-1B Visa Program | Homeland Security
https://www.dhs.gov/news/2020/10/06/department-homeland-security-and-department-labor-rule-restores-integrity-h-1b-visa

Trump Administration Announces Overhaul of H-1B Visa Program - WSJ
https://www.wsj.com/articles/trump-administration-announces-overhaul-of-h-1b-visa-program-11602017434

U.S. unveils long-anticipated restrictions on H-1B guest worker program - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/h1b-trump-overhaul-u-s-unveils-long-anticipated-restrictions-on-foreign-worker-visas-including-h-1b-program/

トランプ大統領は以前から外国人よりも自国民の雇用を優先することを掲げ、就労ビザの制限を強化する方針を見せていました。2020年には新型コロナウイルスのパンデミックに伴う景気悪化対策として、一部の就労ビザの年内発給停止・制限強化を決定する大統領令に署名。ビザを活用して就労する従業員が多いテクノロジー業界からは反発の声も上がっています。

トランプ大統領が就労ビザの新規発給を2020年末まで停止、AmazonやGoogleからは反発の声 - GIGAZINE


そんな中、労働省と国土安全保障省は、高度な技能を持った外国人労働者を対象としたH-1Bビザの取得要件を強化する規制を発表しました。政府当局は今回の規制の目的について、企業が安価な外国人労働力に目を向けるのを阻止することが目的だと主張しています。

以前からH-1Bビザの取得要件には、対象となる外国人労働者が得る最低賃金に下限が設けられていましたが、新たな規制ではその最低賃金が引き上げられます。これに伴って雇用主はH-1Bビザで働く労働者により高い給与を支払わなければならず、給与が上がらなかった場合は労働者がH-1Bビザの資格を失う可能性があるとのこと。


また、新たな規制は外国人労働者が「従事する仕事に関連する分野の学位」を持つことを求めており、「電気工学の学位を持つソフトウェア開発者」などがH-1Bビザを取得できなくなるとみられています。最先端のテクノロジー企業では、複数の学問分野を組み合わせた領域で活躍する労働者も多いため、外国人労働者がハイテク企業で働くことがより困難になると指摘されています。

これらの追加規制に加え、サードパーティのコンサルティング企業を通じて雇用された外国人労働者のビザ短縮や、対象となる専門職の定義の厳格化といった規制も実施されるそうです。


H-1Bビザは高度なスキルを持つ専門分野で働く労働者向けに設計されたビザであり、シリコンバレーなどのテクノロジー企業で広く活用されています。各年度のはじめに8万5000人の労働者に対してH-1Bビザが抽選で授与されており、H-1Bビザ保有者の3分の2以上がインド国籍だそうです。

国土安全保障省のケン・クッチネリ副長官代理は、一連の変更は全てのH-1Bビザ申請者のうち3分の1以上に影響を与えると主張。「私たちはトランプ大統領が4年近く前にアメリカ国民と交わした、移民システムの完全性を取り戻し、個人的な利益のために私たちのシステムを悪用する人々からアメリカ人を保護し、家族を養うために苦労している全てのアメリカ人を決して忘れないという約束を果たしています」と、クッチネリ氏は述べています。

パトリック・ピゼラ労働副長官は、新型コロナウイルスのパンデミックによる不況の影響を考えると、一連の規制は必須のものとなっていると指摘。「外国人労働者の雇用がアメリカ人労働者とその家族の経済的安全を損なうことは、決して受け入れられません。経済が回復する中で何百万人ものアメリカ人が仕事を探しているので、低コストの外国人労働者がアメリカ人労働者の幸福に与えるリスクを防ぐために、早急な行動が必要です」と、ピゼラ氏は記者団に語りました。

その一方で、無党派の移民政策研究所の研究者であるサラ・ピアス氏は、H-1Bビザの新規制はビザ保有者に加えて雇用者や会社にもダメージを与えると指摘。H-1Bビザのシステムには問題があり、対処する必要があると認めつつも、全てのH-1Bビザで働く労働者を「罰する」ことで対処するトランプ政権の姿勢は問題だと主張しました。

by Gage Skidmore

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
トランプ大統領が就労ビザの新規発給を2020年末まで停止、AmazonやGoogleからは反発の声 - GIGAZINE

厳しいビザ制限でアメリカンドリームを打ち砕かれた若き科学者5人の証言 - GIGAZINE

アメリカが「Huaweiなど中国企業の従業員のビザを制限する」と発表、中国の人権侵害を問題視 - GIGAZINE

テクノロジー分野の技術者がアメリカに永住するために「EB-1」ビザを取得する方法 - GIGAZINE

アメリカのビザ申請にソーシャルメディアのID提出が必須になる - GIGAZINE

アメリカで働ける「H-1B」ビザを取るとAppleやGoogleなどでどのくらい給料がもらえるのかわかる「H1B Salary」 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.