アメリカが「Huaweiなど中国企業の従業員のビザを制限する」と発表、中国の人権侵害を問題視
アメリカ国務省が2020年7月15日に、Huaweiをはじめとする中国のテクノロジー企業の従業員に対しビザ(査証)を制限する措置を行うことを発表しました。同省は今回の決定に踏み切った理由について、「Huaweiなどの企業の従業員が、世界的な人権侵害に関与しているため」と説明しています。
US Imposes Visa Restrictions on Chinese Tech Companies' Employees | Voice of America - English
https://www.voanews.com/usa/us-imposes-visa-restrictions-chinese-tech-companies-employees
US announces visa restrictions for employees of Huawei and other Chinese tech companies - CNNPolitics
https://edition.cnn.com/2020/07/15/politics/pompeo-presser-july-15/
U.S. to slap Huawei employees with travel bans for China’s human rights abuses - MarketWatch
https://www.marketwatch.com/story/us-to-slap-huawei-employees-with-travel-bans-for-chinas-human-rights-abuses-2020-07-15
中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区には、少数民族であるウイグル族を中心としたイスラム教徒の人々が暮らしていますが、中国当局は同地域に住む少数民族の人々に対し、マルウェアを用いた監視や強制収容などを含む激しい弾圧を行っています。
中国はマルウェアによるウイグル族の監視活動を数年にわたって行っていたと判明 - GIGAZINE
中国のウイグル族収容施設は急速に拡大を続けているという指摘 - GIGAZINE
アメリカ国務長官のマイク・ポンペオ氏は7月15日の記者会見で、「Huaweiのような中国のテクノロジー企業の特定の従業員は、世界的な人権侵害や弾圧を行っている中国共産党に物質的な支援を行っています」と述べて、Huaweiをはじめとする中国のテクノロジー企業の従業員に対して、ビザの制限を実施することを発表しました。
Huawei以外の制裁対象企業や、ビザの制限を受ける従業員の氏名といった詳細は記事作成時点では不明ですが、ポンペオ氏は「我々は、TikTokや他の中国のアプリ、通信会社などの企業から自分たちのデータが中国共産党の手に渡らないようにという、アメリカ国民の要請を真剣に受け止めています」と話して、Huawei以外の企業も制裁対象となることを明らかにしました。
ポンペオ氏はさらに、「世界中の通信会社がHuaweiと取引する際は、『人権侵害者とビジネスをしている』ということを深く自覚するべきです」と述べて、中国企業だけでなく中国企業と関係が深い企業も批判しています。
アメリカの国営放送局Voice of Americaは、「この発表は、中国共産党による少数派イスラム教徒の人権侵害を制裁する新しい動きだと見られています。また、この措置はイギリス政府がHuawei製品を5G通信網から完全に排除する方針を打ち出した翌日に発表されました」と指摘し、今回の措置は中国当局によるウイグル族弾圧に絡めた、Huaweiへの締め付けの強化であるとの見方を示しました。
アメリカは、イギリスに先駆けること7月1日に、HuaweiとZTEを「国家安全保障上の脅威」に指定しています。
HuaweiとZTEがついに「国家安全保障上の脅威」に指定される - GIGAZINE
by Kārlis Dambrāns
この報道を受けてHuaweiは「当社は中国の政府から独立して運営されている民間企業です。私たちは、アメリカや世界の技術革新に更新すべくたゆまぬ努力している従業員に制裁を課すという、不公平で恣意(しい)的な措置に失望しています」との声明を発表しました。
・関連記事
Huaweiを動かしているのは一体誰なのか? - GIGAZINE
HuaweiとZTEがついに「国家安全保障上の脅威」に指定される - GIGAZINE
中国のウイグル族収容施設は急速に拡大を続けているという指摘 - GIGAZINE
17歳少女がメイク動画に見せかけて中国のウイグル弾圧を批判しTikTokアカウントが停止されてしまう - GIGAZINE
ウイグル自治区を訪れる旅行者のスマホには監視用スパイアプリが強制的にインストールされていることが判明 - GIGAZINE
「TikTokはプライバシー上の懸念があるため使用しないように」とアメリカ民主党・共和党の両委員会が警告 - GIGAZINE
アメリカが中国の監視カメラや顔認証技術企業を根こそぎブラックリストに追加、その理由とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ