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SpaceXの衛星インターネット「Starlink」がパブリックベータテストを開始、料金は月額1万円


イーロン・マスク氏が設立した民間宇宙開発企業のSpaceXが、衛星インターネット「Starlink」のサービスをスタートしました。料金は月額99ドル(約1万円)ですが、別途Wi-Fiルーターや衛星に接続するためのユーザー端末などがセットになった499ドル(約5万2000円)のStarlinkキットを購入する必要があります。

SpaceX Starlink service priced at $99 a month, public beta test begins
https://www.cnbc.com/2020/10/27/spacex-starlink-service-priced-at-99-a-month-public-beta-test-begins.html

SpaceX Starlink public beta begins: It’s $99 a month plus $500 up front | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2020/10/spacex-starlink-public-beta-begins-its-99-a-month-plus-500-up-front/

SpaceXが提供する衛星インターネットサービスのStarlinkは、地球の軌道上に打ち上げた1万2000基もの人工衛星を用いて、宇宙にインターネット網を構築するというものです。地上に設置した既存の光ファイバーケーブルを用いた設備では、世界の隅々までインターネット接続環境を提供することができていませんが、Starlinkは宇宙にインターネット網を構築することで、都会であろうと田舎であろうと同じ速度のインターネット接続環境を提供することが可能になると期待されています。


そのStarlinkがこれまで行ってきたベータテストの範囲を拡大し、パブリックベータテストを開始したことが、SpaceXがユーザーに向けて送信したメールから明らかになりました。このメールによると、Starlinkのパブリックベータテストは「Better Than Nothing Beta」と呼ばれており、月額99ドルでStarlinkを利用可能となります。ただし、月額料金とは別に初期費用として499ドルのStarlinkキットを購入する必要があり、これには衛星に接続するためのユーザー端末、端末取り付け用の三脚、Wi-Fiルーターが含まれているとのこと。また、すでにStarlink専用アプリがiOSAndroid向けに配信されています。

なお、SpaceXは従業員向けにStarlinkのベータテストを提供しており、匿名の情報提供者から「Starlinkの通信速度は下り(ダウンロード)最大60Mbps、上り(アップロード)最大18Mbps程度である」とリークされていました。

SpaceXの衛星インターネット「Starlink」の速度は下りで最大約60Mbps、測定結果リークで判明 - GIGAZINE

by Official SpaceX Photos

しかし、Starlinkのパブリックベータテストをアナウンスするメールには、「Starlinkのシステムを強化するにつれ、今後数か月以内にダウンロード速度は50Mbpsから150Mbpsに、遅延は20~40msにまで短縮することができると予想されています」と書かれており、今後の設備強化と共に回線速度が徐々に強化されていく旨が説明されています。なお、Starlinkのパブリックベータテストの初期サービスはアメリカとカナダを対象に提供され、2021年までにより多くの国と地域をカバーしていくことになるとのことです。

パブリックベータテストに関するアナウンスを受け取ったのは、Starlinkの公式サイト上でメールアドレスを入力して最新情報に関する案内を受け取ることに同意した人々であると思われ、SpaceXは2020年8月に「約70万人がStarlinkのサービスに興味を持っている」と語っていました。


SpaceXによると、Starlinkの構築には100億ドル(約1兆円)以上の費用がかかるそうですが、同時にStarlinkは年間300億ドル(約3兆1000億円)の収益を上げ、SpaceXのロケット事業の年間収益の10倍以上を記録する可能性もあるとのこと。

記事作成時点でSpaceXはすでに900基近くの衛星を打ち上げており、これは全世界をカバーするには足りない数ですが、アメリカ北西部を含む一部の地域でサービスの提供を開始するには十分な数とのこと。なお、SpaceXがStarlink用に打ち上げた衛星がどこにいるのかは、以下のマップ上で確認できます。

宇宙からインターネット網を構築するSpaceXの「Starlink」で使われる人工衛星がどこにいるかわかるマップ - GIGAZINE


加えて、SpaceXは2020年10月上旬にMicrosoftとのパートナーシップを発表。MicrosoftのクラウドコンピューティングサービスであるAzureを拡大し、人工衛星からクラウドへデータを転送できるサービス「Azure Orbital」と、衛星通信サービス事業「Azure Space」の2つを発表しています。このAzure SpaceはStarlinkと接続することで、世界中のどこからでもクラウドやデータセンターにアクセスできるようにするというサービスです。

Microsoftが宇宙事業「Azure Space」の展開を発表、SpaceXと提携してデータセンターを衛星インターネットに接続 - GIGAZINE

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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