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AMDがアメリカの半導体企業・ザイリンクスを3兆6000億円で買収、データセンター向け事業強化でIntelに対抗か


大手チップメーカーのAMDが、アメリカの半導体企業であるザイリンクスを350億ドル(約3兆6000億円)相当の全株式を買収する取引で最終合意に至ったことを発表しました。AMDは、データセンター向けの集積回路であるFPGAの市場を主導するザイリンクスを買収することでデータセンターや通信基地局向けの事業を強化し、競合であるIntelに対抗する構えを見せています。

AMD to Acquire Xilinx, Creating the Industry’s High Performance Computing Leader | AMD
https://www.amd.com/en/press-releases/2020-10-27-amd-to-acquire-xilinx-creating-the-industry-s-high-performance-computing


AMD to Acquire Xilinx | AMD
https://www.amd.com/en/corporate/xilinx-acquisition


AMDがザイリンクスを買収しようとしているというウワサは2020年10月上旬からささやかれていました。また、同時期に行われたテクノロジー系メディアのAnandTechによるインタビューで、AMDのマーク・ペーパーマスターCTOは新たな市場開拓の可能性を尋ねられ、「私たちは、業界に価値あるハイパフォーマンスを提供したいと考えており、私たちが提供できるものを本当に価値あるものとして評価してくれる市場でのシェア獲得に力を入れていきます」と答えていました。

AMDの最高技術責任者が第4世代Ryzen CPUの採用する「Zen 3アーキテクチャ」について語る - GIGAZINE


ザイリンクスが生んだFPGAは、データセンターや通信基地局などで処理の高速化を可能とする書き換え可能な集積回路です。AMDはサーバー・組込みシステム市場をターゲットにして、Zenマイクロアーキテクチャを採用したCPUブランド「EPYC」を展開していますが、ザイリンクスが持つFPGAの技術とブランドを吸収することで、高性能コンピューティングのより強力なシステムパッケージを提供できるようになります。

AMDのライバル企業であるIntelは、FPGA市場でザイリンクスの競合企業だったアルテラを2015年に買収しており、「Intel FPGA」というブランドを展開しています。AMDがザイリンクスを買収したことで、CPU市場のみならずFPGA市場でもIntelとしのぎを削ることとなります。

AMDのリサ・スーCEOは「ザイリンクスの買収は、AMDを業界のハイパフォーマンス・コンピューティングのリーダーとして、また世界最大かつ最も重要なテクノロジー企業から選ばれるパートナーとしての地位を確立するための次の一歩となります。これは、AMDとザイリンクスの株主をはじめとするすべてのステークホルダーにとって大きな価値を生み出す、まさに魅力的な組み合わせです。ザイリンクスのチームは業界で最も強力なチームの1つであり、AMDファミリーに彼らを迎えることができることを嬉しく思います。ザイリンクスのワールドクラスのエンジニアリング・チームと深い専門知識を組み合わせることで、ハイパフォーマンス・コンピューティングの未来を定義するビジョン、才能、規模を備えた業界のリーダーが誕生します」と述べています。

Big day @AMD with our strong financial results and strategic acquisition of @XilinxInc. So proud of our upcoming @AMDRyzen, @Radeon and @AMDServer products and very much looking forward to welcoming Victor and the Xilinx team on the next leg of our journey pic.twitter.com/FkXXBrNQ97

— Lisa Su (@LisaSu)


また、ザイリンクスのヴィクター・ペンCEOは「私たちは、AMDファミリーの一員になれることに興奮しています。イノベーション、卓越性、コラボレーションという共通の文化を持つAMDは、理想的なペアです。私たちは共に、高性能とアダプティブ・コンピューティングの新時代をリードしていきます。ザイリンクスの最先端のFPGA、アダプティブSoC、アクセラレータ、SmartNICソリューションは、クラウドからエッジ、エンド・デバイスに至るまでのイノベーションを可能にします。当社は、お客様が差別化されたプラットフォームをより迅速に、最適な効率性と性能で市場に展開できるように支援します。AMDとの提携は、当社のデータセンター事業の成長を加速させ、より多くの市場でより広範な顧客基盤を追求することを可能にします」とコメントしています。

なお、AMDはザイリンクスの買収と同時に、2020年第3四半期(7~9月)の決算を発表しました。

2020年第3四半期の総売上は前年同期比で56%増の28億ドル(約2900億円)、営業利益は前年同期比で141%増加の4億4900万ドル(約470億円)、純利益は前年同期比で225%増の3億9000万ドル(約407億円)、1株当たり利益は0.32ドル(約33円)と、大きな成長を遂げています。


CPUやGPUを扱うコンピューティングとグラフィックス部門は、売上が前年同期比30%増加の16億6700万ドル(約1720億円)、営業利益が前年同期比114%増加の3億8400万ドル(約400億円)でした。また、エンタープライズ向け製品・組込みシステム・セミカスタム製品部門は、売上が前年同期比116%増加の11億3400万ドル(約1180億円)、営業利益が前年同期比131%増加の1億4100万ドル(約147億円)でした。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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