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Amazonが保有しているIPアドレスだけで2500億円以上の資産価値がある

by thierry ehrmann

インターネット上の住所ともいうべきIPアドレスのうち、IPv4アドレスの割り当て分がなくなってしまうIPアドレス枯渇問題が迫っています。そんな不足しているIPv4アドレスを、AmazonのクラウドコンピューティングサービスであるAmazon Web Services(AWS)が大量に買い集めていると、インターネット監視サービス「BGPmon.net」の創設者でエンジニアのAndree Toonk氏が解説しています。

AWS and their Billions in IPv4 addresses
https://toonk.io/aws-and-their-billions-in-ipv4-addresses/index.html

2017年、マサチューセッツ工科大学がIPv4からIPv6に移行する際に、割り当てられていたものの未使用だった18.0.0.0/8ブロックのうち、少なくとも800万のIPv4アドレスをAWSに移転すると発表しました。また、2018年には、IPv4アドレス空間の256分の1に当たる3.0.0.0/8と3.123.0.0/8が、General ElectricからAmazon.comに移転。さらに、2019年にはアマチュア無線デジタル通信(ARDC)が44.192.0.0/10を、1億800万ドル(約114億円)で売却したことが判明しています。

Amazonが2019年に購入した400万件のIPアドレスの価格が財務報告書公開により判明 - GIGAZINE


加えてToonk氏は、IPv4アドレス市場が近年活発であることから、AWSが把握されていないだけでIPv4アドレスを買い集め、上記以外にも膨大な量のIPv4アドレスを保有している可能性を指摘しています。

AWSは保有するIPv4アドレスをリストアップしたJSON公開していますが、これが全てではないと考えたToonk氏は、さらにインターネットレジストリであるARINAPNICRIPEのデータと組み合わせて、確認できる限りでAWSが所有するすべてのIPv4アドレスのリストを作成し、GitHubで公開しました。

AWS prefixes · GitHub
https://gist.github.com/atoonk/b749305012ae5b86bacba9b01160df9f


Toonk氏によれば、リストに含まれるIPv4アドレスは1億を超えるとのこと。枯渇が進むIPv4アドレスの平均価格はここ数年で上昇しており、IPv4アドレスの売買サイトから算出すると、近年の平均価格はIPv4アドレス1つにつき25ドル(約2600円)ほどだそうです。つまり、Amazonが保有するIPv4アドレスは総額でおよそ25億ドル(約2600億円)の資産価値があるということになります。ただし、IPv4アドレスの価格はもちろん市場価格なので、需要と供給にしたがって資産価値は変動します。

Toonk氏は「AWSが舞台裏で懸命に努力しているのは明らかです。公開されたデータによると、同社は約5300万のIPv4アドレスを既存のAWSのサービスに割り当てています。つまり、最大4700万のIPv4アドレスがまだ残っており、将来の割り当てに利用可能であるということです。健全ですね!それに加えて、AWSは今後もIPv4アドレスの調達を続けるでしょう。IPv4アドレス市場は依然としてホットです」と述べています。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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