約50億円相当のIPv4アドレスがアフリカから横流しされているという報告

By garloon
約40億あるとされるIPv4アドレスは、2019年の時点で大部分が既に割り当てられており、北米やヨーロッパでは使い果たされたと報告されるほど世界的に不足している状況です。カリフォルニアに拠点を置くフリーランスの研究者、ロン・ギルメット氏の調査によると、アフリカを拠点とする企業のために確保されたIPアドレスブロックが、実在しない企業や、他の企業に買収されたアフリカ企業を介して他の大陸に拠点を置く企業などの手に渡っていることが明らかになりました。
The Great $50M African IP Address Heist — Krebs on Security
https://krebsonsecurity.com/2019/12/the-great-50m-african-ip-address-heist/
記事作成時点で、IPv4アドレスは公開市場で15ドル(約1600円)から25ドル(約2700円)の間で取引されており、アフリカから横流しされたIPアドレスの市場価値は5000万ドル(約54億円)を超えるとギルメット氏は推定しています。
ギルメット氏は南アフリカに拠点を置くジャーナリストと協力し、AFRINICによって売却されたと思われるIPアドレスを発見しました。また、AFRINICに登録されている「ipv4leasing」という名の民間企業に紐付けられたIPアドレスが、スパム業者や詐欺師によって悪用された可能性があることが明らかになりました。ipv4leasingは、AFRINICの従業員であるアーネスト・ビャルハンガ氏によって2013年に登録されており、関連付けられた2つのドメイン「ipv4leasing.org」「ipv4leasing.net」が取得されていました。ipv4leasing.orgは少なくとも6つの大きなIPアドレスブロックに結び付けられており、これらのIPアドレスはカメルーンなどで利用されていたとのことです。ipv4leasing以外にも、似たような事例が多く発見されています。

By stevanovicigor
ギルメット氏はビャルハンガ氏にコメントを要請したものの、ビャルハンガ氏は応じませんでした。しかし、ギルメット氏を支援した南アフリカの技術ニュースサイトMybroadbandの記者であるヤン・バーミューレン氏によってアフリカでのIPアドレスの横流しが報じられた後の2019年10月に、ビャルハンガ氏は突然AFRINICを辞職しました。AFRINICのCEOであるエディ・カイフィラ氏は「この問題については調査中です」と述べています。
インターネットトラフィック技術の理解やサポートを行う非営利の研究機関、PCHの責任者であるビル・ウッドコック氏は、「地域のインターネットレジストリを管理する従業員が、IPアドレスを無許可で売却して逮捕されることは何度もありましたが、アフリカでの事件はこれまでに申し立てられた中で最も長期にわたって犯行が続いています。大抵の場合は逮捕か解雇されるまで、犯行が一度きりの場合や短期間であるケースがほとんどです」と述べています。
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