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なぜ各国は「宇宙軍」を必要としているのか?


2019年12月に「アメリカ宇宙軍」が正式に発足するなど、世界各国で宇宙軍を設立する動きが強まっており、日本では2020年5月に「宇宙作戦隊」が防衛大臣直轄部隊として新設されました。一体なぜ各国が宇宙軍を必要としているのかについて、科学系メディアのLive Scienceがまとめています。

Countries around the world want a Space Force — but why? | Live Science
https://www.livescience.com/every-country-wants-space-force.html

アメリカや日本、フランス、カナダといった国々が相次いで「宇宙軍」を設立する背景には、「衛星軌道上におけるセキュリティ上の脅威が強まっている」という認識があるとのこと。アメリカ宇宙軍が誕生したのも、国家安全保障から日常のコミュニケーションに至るまで、あらゆる場面で必要不可欠な人工衛星および宇宙の資産を守る目的があるそうです。

アメリカ宇宙軍の宇宙作戦軍団司令官を務めるジョン・ショー少将は、宇宙軍が必要とされるのは海に面した国や島国が海軍を必要とするのと同じ理由だと指摘。「その領域における全ての活動を保護し、脅威を阻止したいのです。誰も宇宙での戦争を望んでいません」と、ショー少将は述べています。


「宇宙における脅威」と聞くとSF的な印象を受けますが、ショー少将によるとアメリカ宇宙軍が阻止しようとしているのは理論的な脅威ではなく、すでに現れ始めている脅威だとのこと。たとえば2020年4月と7月には、アメリカ宇宙軍が「ロシアが軌道上の衛星を攻撃する兵器についてのテストを行った」と報告しています。

アメリカ宇宙軍作戦部長を務めるジョン・レイモンド大将はロシアによる一連の動きについて、「アメリカと同盟国の宇宙システムに対する脅威が現実的かつ深刻であり、成長しているとする新たな例を提供するものです」とコメント。ショー少将は宇宙空間における脅威の例として、衛星が送受信する信号を妨害する電磁スペクトル妨害装置などを挙げました。

他国もアメリカと同様の危機感を抱いているようで、フランスの宇宙司令部で司令官を務めるミシェル・フリードリンク少将は、「私たちは同じ懸念を共有しています」と話しています。また、カナダ国防省の宇宙・統合宇宙軍部隊指揮官のマイク・アダムソン将軍は、「私たちは遅れを取っていないことを確かめ、テーブルに私たちの場所を維持したいのです」と述べています。


また、他国の悪意ある行動だけではなく、民間企業による衛星の打ち上げも宇宙空間における深刻な脅威となり得るとのこと。「低軌道における商用衛星の増殖は、ある意味で宇宙の持続可能性に対する最大の脅威となる可能性があります」と、ショー少将は指摘しています。

たとえばイーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙企業のSpaceXは、合計1万2000基もの人工衛星を打ち上げて世界中に高速インターネット通信網を構築する「Starlink計画」を進めています。また、Amazonもブロードバンドサービス構築のため3000基超の人工衛星を打ち上げる計画を持っており、多くの企業が宇宙への進出を狙っています。

人工衛星を用いた通信網の構築は大きな利益となりますが、軌道上の衛星が増えすぎると、衛星同士が衝突したり宇宙ゴミ(スペースデブリ)が発生したりするリスクが増加します。そのため、宇宙軍の創設には軌道上の衛星を監視する目的もあるそうです。

ショー少将は、「弱点があると紛争を招きますが、私は強くなることで紛争を阻止できると信じています」とコメント。宇宙空間における軍事力を持つアプローチによって、宇宙空間における紛争を阻止する、より安定的な状況が導かれると主張しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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