TikTok買収競争でMicrosoftがウォルマートとタッグを結成
by Mike Mozart
現地時間2020年8月27日、アーカンソー州に拠点を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンウォルマートがMicrosoftと提携して、中国のByteDanceが開発・運営するショートムービー共有アプリTikTokの事業買収に乗り出すと発表しました。
Walmart is teaming up with Microsoft on TikTok bid
https://www.cnbc.com/2020/08/27/walmart-is-teaming-up-with-microsoft-on-tiktok-bid.html
Walmart wanted majority TikTok stake; teamed with Alphabet, SoftBank
https://www.cnbc.com/2020/08/27/walmart-wanted-majority-tiktok-stake-teamed-with-alphabet-softbank.html
トランプ大統領がTikTokに対して「アメリカでの事業を2020年9月15日までに同国の企業に売却しなければ国内での利用を禁止する」と発表したことを受けてスタートしたTikTok買収競争も期限に近づきつつあります。ByteDanceはTikTokのアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド事業を200億ドル(約2兆1000億円)から300億ドル(3兆2000億円)で売却する見込みで、情報筋によると入札にはウォルマートと手を組んだMicrosoftとOracleの2社が参加しているとのこと。
ウォルマートがMicrosoftと手を組んでTikTok買収に参加したのは、同じ小売業であるAmazonとの競争力を高めるため。ウォルマートは発表の中で、「TikTokのアメリカ事業が得られればウォルマートはオムニチャネルの顧客にリーチする重要な方法とサードパーティのマーケットプレイスと広告事業を成長させることができるでしょう」とコメント。ウォルマートはまもなくサービスをスタートさせる予定である、商品の即日配達とオリジナルのテレビ番組・映画の定額制動画配信サービスを兼ね備えたAmazonプライムと同種のサブスクリプションサービス「Walmart+」に、TikTokを役立てるものだとみられています。
報道によると、ウォルマートはTikTokの過半数株主になることを望んでおり、Microsoftと正式に提携する前にはGoogleの親会社であるAlphabetやソフトバンクとの提携も模索していました。しかし、YouTubeを所有するAlphabetはTikTokのアメリカ事業を取得すると独占禁止法に抵触する可能性が出ることから提携が見送られ、アメリカ政府が「TikTokの買収に参加できるのはクラウドテクノロジーを有する企業に限る」と条件を付けたことから、クラウドテクノロジーを有していないソフトバンクの提携や、ウォルマートの単独買収は見送られたとのこと。
「トランプ大統領がOracleによるTikTok買収を支持した」と報じられる中、TikTok買収競争を制するのはウォルマートと手を組んだMicrosoftなのかOracleなのかは見通しが付かない状況です。2020年8月26日にはByteDanceがトランプ政権を訴えたことを受けてTikTokのケビン・メイヤーCEOが辞任しており、先行きの不透明感が一段と高まっています。
ウォルマートは「ウォルマートとMicrosoftのパートナーシップは、米国政府の規制当局の懸念と米国のTikTokユーザーの期待の両方を満たすと確信しています」とコメントしており、同社の株価は発表直後に6%上昇しました。
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