新型コロナウイルスによってUberの主力事業が「デリバリー」に変遷している
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、生活習慣や経済状況にさまざまな変化が生じています。全世界で1億1000万人以上のユーザーを有するUberが四半期決算の中で、中核を成す事業である配車サービス部門がCOVID-19の流行によって大打撃を受けた一方で、デリバリー部門の売上が前年度比2倍に増加したと報告しました。
Uber Technologies, Inc. - Uber Announces Results for Second Quarter 2020
https://investor.uber.com/news-events/news/press-release-details/2020/Uber-Announces-Results-for-Second-Quarter-2020/default.aspx
Coronavirus clobbers Uber, leading to $1.8 billion quarterly loss | Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2020/08/coronavirus-clobbers-uber-leading-to-1-8-billion-quarterly-loss/
Mobility business in recovery in Asia; Zomato unit economics improving, says Uber - cnbctv18.com
https://www.cnbctv18.com/startup/mobility-business-recovering-in-india-zomato-unit-economics-improving-says-uber-6569751.htm
パンデミックが発生する以前の2020年2月、Uberのダラ・コスロシャヒCEOは「2019年第4四半期には11億ドル(約1170億円)の損失を出しましたが、2020年末までには利益が出るようになると予想しています」という明るい見通しを語っていました。
しかし、COVID-19の流行によって、同社は手痛い打撃を受けていることが決算報告書によって明らかになっています。2020年8月6日に発表されたUberの2020年第2四半期の決算報告書によると、Uberの利用総額は前年同期比35%減の102億ドル(約1兆900億円)にまで減少。総売上高は前年同期の31億700万ドル(約3390億円)から22億4000万ドル(約2390億円)へ29%減少し、主力である配車サービス部門の総売上高は前年同期の23億7000万ドル(約2530億円)から7億9000万ドル(約844億円)と67%も急落したとのこと。
一方で、フードデリバリーサービス「Uber Eats」で知られる同社のデリバリー部門はCOVID-19の流行による需要拡大を受け、総売上高を5億9500万ドル(約635億円)から12億1000万ドル(約1290億円)と倍以上に伸ばし、配車サービス部門を上回る売上を見せました。
総売上高の急減によって、同社の経営状況に大きな変革が訪れています。Uberは2020年5月6日にカスタマーサポート部門および採用部門から全従業員の14%に相当する3700人を解雇し、さらにわずか2週間後の5月18日に新たに3000人を解雇しています。
Uberが新型コロナウイルスの流行に伴う前回の大量解雇からわずか2週間後にさらに3000人の従業員を解雇すると発表 - GIGAZINE
一方で、好調を示しているデリバリー部門においては、提携するレストランを50万店以上に増やし、提携店舗数を前年度比で50%以上増加させています。さらに、COVID-19の流行による巣ごもり需要の拡大に応じる形で食品以外の市販薬や小包、ペット用品などを小売店から家庭に届ける「Uber Direct」と、個人から個人へ物資を配送する「Uber Connect」という2つのサービスを2020年4月20日から一部地域でスタートさせています。
Uberが家族や友人に荷物を届けてくれる非接触型配達サービス「Uber Connect」と「Uber Direct」を発表 - GIGAZINE
コスロシャヒCEOは、投資家との電話会議の中で「配車サービス部門の回復は公衆衛生状況に明らかに依存しています」と述べ、COVID-19の流行状況が配車サービス部門の売上に大きな影響を与えている点を指摘。「インドを除くアジアは回復基調にあり、香港とニュージーランドの利用総額はCOVID-19流行前の最高額をすでに上回っています」と述べて、配車サービス部門の売上が今後回復するという予測を語りました。
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