時価総額が1日1500億円超も急落したUberの「安全性レポート」とは?
by Victor Xok
配車サービス大手のUberが2019年12月5日、企業として初の「安全性レポート」を発表しました。レポートの中では、2017年と2018年に年間およそ3000件もの性的暴行事件があったと報告されており、レポート発表後にUberの株価が14億ドル(約1500億円)下落するほどの衝撃を人々に与えています。
Uber’s US Safety Report
https://www.uber.com/us/en/about/reports/us-safety-report/
Uber loses $1.4 billion in value after reporting thousands of sexual assaults in its rides – Silicon Valley
https://www.siliconvalley.com/2019/12/06/uber-loses-1-5-billion-in-value-after-reporting-thousands-of-sexual-assaults-in-its-rides/
Uber drivers are being sexually assaulted in their cars, report says - Vox
https://www.vox.com/2019/12/7/20998646/uber-safety-report-sexual-assault-lyft-cases
Uberの発表によると、アメリカにおいてUberの配車サービスに関連して殺害された人数は2017年に10人、2018年に9人となっており、事故で命を落とした人数は2017年に49人、2018年に58人とのこと。また、アメリカのUberユーザーおよびドライバーから報告された性的暴行被害の件数は、2017年で2936件、2018年で3045件に上ることも判明しました。
以下の表が、アメリカのUberに報告された性的暴行事件の内訳を示したもの。Uberでは性的暴行事件のランクを5段階に分けており、表中の上から順に「同意のない非性的部位へのキス」「同意のない性的挿入未遂」「同意のない性的部位への接触」「同意のない性的部位へのキス」「同意のない性的挿入」となっています。これら5段階のうち最も多いのが「同意のない性的部位への接触」であり、2018年には1560件が報告されています。また、「同意のない性的挿入」も、2017年には229件、2018年には235件が報告されていました。
実に年間3000件近くの性的暴行事件が報告されたことは、多くの人々に衝撃を与える結果となりましたが、Uberは性的暴行事件の件数は全体の乗車件数から見ると非常に少ないと指摘。Uberを利用した乗車のうち99.9%以上が安全であり、2017年から2018年にかけてはUber全体の乗車回数も増加しているため、割合でみれば性的暴行事件は減少しているとも主張しています。
安全性レポートの発表に続き、Uberのダラ・コスロシャヒCEOはTwitter上で声明を発表。「性的暴行を終わらせるために、件数を調べて立ち向かい、行動を起こします。私の心は広範に及ぶ被害を受けた人々と共にあります。私たちの仕事は決して終わることはありませんが、今日は重要な一歩を踏み出しました」と、コスロシャヒ氏は述べました。
Doing the right thing means counting, confronting, and taking action to end sexual assault. My heart is with every survivor of this all-too-pervasive crime. Our work will never be done, but we take an important step forward today. https://t.co/i8W1fpiU97 (1/3)
— dara khosrowshahi (@dkhos) 2019年12月5日
Uberの発表は株価にも大きな影響を与え、安全性レポートが発表された翌日の2019年12月6日には、Uberの株価が2.7%下落。12月5日の終値は28.65ドル(約3150円)でしたが、12月6日の終値は27.88ドル(約3060円)となりました。これによってUberの時価総額は489億ドル(約5兆3800億円)から475億ドル(約5兆2300億円)となり、実に14億ドルも下落したと報じられています。
性的暴行に悩まされているのはUberだけでなく、同じく配車サービス大手のLyftも同様です。2019年12月には、19人の女性が「Lyftを利用して性的暴行被害を受けた」との訴えを起こしました。
また、配車サービスにおいて性的暴行被害を受けているのは乗客だけでなく、ドライバーも危険にさらされているとのこと。Uberのレポートによると、性的暴行被害の報告のうち42%でドライバーが被害者となっており、Lyftへの訴訟を担当する弁護士のMichael Bomberger氏は、「ドライバーも乗客と同じように性的暴行被害を受けています」と主張しています。
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