「レム睡眠が短くなると死亡リスクが高まる」と研究で明らかに
人間の睡眠は、体は寝ていても脳は起きている「レム睡眠」と、体も脳も寝てしまっている「ノンレム睡眠」をおよそ90分周期で繰り返しています。この2つの睡眠のうち、レム睡眠の時間が少なくなると死亡リスクが高まるという研究結果を、スタンフォード大学の研究チームが発表しました。
Association of Rapid Eye Movement Sleep With Mortality in Middle-aged and Older Adults | Neurology | JAMA Neurology | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/2767713
Less REM sleep increases death risk: JAMA Neurology
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Less REM sleep increases death risk: JAMA Neurology
https://medicaldialogues.in/neurology-neurosurgery/news/less-rem-sleep-increases-death-risk-jama-neurology-67831
レム睡眠のレム(REM)は「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の略で、寝ている時に眼球が急速に運動していることから名付けられています。レム睡眠中は筋肉が弛緩することで体は休息状態に入りますが、脳は活発に活動しています。人間は睡眠時、レム睡眠状態とノンレム睡眠状態をだいたい90分周期で繰り返しており、レム睡眠の時間は睡眠時間全体でおよそ20~25%だといわれています。
スタンフォード大学で睡眠について研究するEileen B. Leary氏らの研究チームは、2003年12月から2005年3月にかけて行われた高齢男性における睡眠障害の研究(MrOS)と、1988年から収集が行われているウィスコンシン睡眠コホート(WSC)からのデータをまとめ、レム睡眠と死亡率のデータを分析しました。なお、MrOSの参加者は2675人で、平均年齢は76.3歳、WSCの参加者は1386人で、平均年齢51.5歳でした。
その結果、MrOSの参加者では、レム睡眠の時間が5%減少するごとに死亡率が13%高くなる傾向が見られたとのこと。これは心血管系やがんなど、さまざまな死因についても同様の結果が得られたそうです。特にレム睡眠の時間が睡眠時間全体の15%未満だった人は、15%以上の人と比較して死亡率が1.2~1.35倍でした。
また、WSCの参加者はMrOSより比較的年齢層が若く、男性だけではなく女性も含まれていました。WSCのデータはMrOSよりも追跡期間が長かったにもかかわらず、MrOSでみられたものと同じ傾向が確認できたそうです。さらに、性別で分類すると男性よりも女性のほうがレム睡眠時間の減少によって死亡リスクが高くなる傾向があったとのこと。研究チームは「2つの独立したデータ群において、レム睡眠の割合と死亡率の間に強い関連が見つかりました」と主張しています。
また、研究チームは「基本的に、レム睡眠の機能についてはまだよくわかっていません。近年では、記憶の統合とシナプスの再構築に、レム睡眠が深く関わっていることが明らかになっています」と語り、「複雑で根本的な生物学的機能であることを考えると、今回の関連が因果関係であるかどうかを理解するためにさらなる研究が必要です」と述べました。
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