サイエンス

中年期に「お酒を飲まなかった人」は認知症リスクが「高い」という研究結果

by Natasha Kapur

飲酒と認知症の関係を長期間にわたって調査した研究で、中年期にお酒を全く飲まなかった人は、その後の人生で認知症と診断されるリスクが高くなるという調査結果が発表されました。

Relation between alcohol consumption in midlife and dementia in late life | The BMJ
https://www.bmj.com/content/362/bmj.k3164

Middle-aged non-drinkers may have 'higher risk' of dementia | Society | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2018/aug/01/middle-aged-non-drinkers-may-have-higher-risk-of-dementia

この研究は1980年代中頃に開始し、当時35~55歳だったロンドンの公務員の9000人を対象として行ったもの。被験者の年齢が平均50歳だった1985年から1993年にかけてアルコール消費量が計測され、その後、平均23年にわたって被験者の状態が追跡調査されました。被験者が認知症になったかどうかは病院や精神衛生サービス、死亡記録といった記録から調べられ、最終的に被験者のうち397人が認知症だと診断されたそうです。

研究者が中年期におけるアルコール摂取とその後の人生の認知症のリスクを調べたところ、中年の時期にお酒を飲まなかった人は、週に1~14ユニットのアルコールを摂取していた人よりも認知症のリスクが45%高かったとのこと。この時、1ユニットはお酒に含まれる純粋なアルコール10mlのことを示します。

by Justin Aikin

研究者は、禁酒していたグループの認知症リスクが高くなった原因について、このグループにおける心血管疾患のリスクが高かったことにあるのではないかとみています。

また、週に14ユニット以上のアルコールを消費したグループは認知症のリスクが高くなることも研究者は発見しており、週あたりのアルコール消費量が7ユニット増加するごとに認知症リスクが17%増加したとのこと。

by Zachariah Hagy

「2つのグループのメカニズムは異なるかもしれませんが、お酒の消費しすぎも、しなさすぎも、認知症のリスクを増加させることと関係しています」と研究者は述べました。

週14ユニットの飲酒は平均的なアルコール度数のビール6パイントに相当し、イギリスの主席医務官は男女ともに週14ユニット以上の飲酒をすべきではないと述べています。また、Alzheimer's Research UKのSara Imarisio医師は「この研究は中年期における飲酒に焦点を当てており、将来的な認知症リスクに関係するだろう成人早期の飲酒の影響についてはまだわかっていません」「1滴もお酒を飲んでいなかった人でも過去に過度の飲酒を行っていた経験を持つ場合もあり、飲酒と健康の関係について判断するのは難しいと思います。将来的には生涯のあらゆる時期における飲酒癖について調査する必要があり、そうすることでアルコールと認知症の関係についてもわかってくるはずです」と語りました。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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